トレーディングパネル:エンドツーエンドで運用モデルを最適化する
第9回 東京金融情報&技術サミットを振り返り:Part 3
東京金融情報&技術サミットは、金融機関のIT、データおよび営業担当エグゼクティブが一堂に会する、日本では唯一のイベントである。本年の会議アジェンダは以下の重要テーマを含み、ITおよびデータ管理を担当するエグゼクティブ、ソートリーダーをパネリストに迎え、データとテクノロジーが革新する日本の金融業界の未来を議論した。
- 未来展望パネル:APIとデジタルエコシステムの未来
- サイバーセキュリティ対策の優先事項、コスト、経営判断
- AIパネル:AIパワーを活用するためにデータアーキテクチャを最適化する
- トレーディングパネル:プレ・トレードからポスト・トレードまで、スケーラブルなIT構造でエンドツーエンドのオペレーショナル・アルファの獲得に向けて
- アンチマネーロンダリング対策のオペレーション変換:自動化、効率化、コンプライアンス対応に向けて
- 日本とアジア太平洋地域におけるESGの課題、標準とその開発
セレントは、3つのパネルディスカッションにおいてモデレーターを務めた。
トレーディングデスクのディープダイブ ― プレ・トレードからポスト・トレードへ
パネリスト
- 市岡 真之 氏 | ゴールドマン・サックス証券 業務部 部長
- 宇都宮 研 氏 | みずほ証券 グローバル副オペレーションヘッド
- ジェームス・マーズデン 氏 | ブロードリッジ・ジャパン マネージング ディレクター
今年のTFITSで唯一のトレーディングにフォーカスしたテクノロジーパネルは、東京キャピタルマーケッツを熟知した3人のソートリーダーを迎え、資本市場テクノロジーの全般の現代化、アセットクラスの横断的な取り組み、フロント/ ミドル/ バックのシステム部門、業務部門のイニシアチブを統合する取り組み、その可能性と課題について議論した。
パネルアジェンダ
- スケーラブルなITインフラに様々なテクノロジーを統合する方法:データの収集、処理、統合を中心にしたトレーディング・インフラの最適化とは?
- トレーディング・ライフサイクルの最適化:エンドツーエンドでのオペレーショナル・アルファの獲得に向けての秘策とは?
- ポスト・トレード業務の革新性:報告業務の簡素化と迅速化は、ポスト・トレード業務を革新するか?そこでの課題と取り組みとは?
パネルの冒頭で、セレントはトレーディングテクノロジーのグローバル動向を報告した。
モデレーター・キーノート:「エンドツーエンドの運用モデルがオペレーション効率とアルファ創出を導く」
- フロントオフィスからバックオフィスまで、経済性と効率性を追求するバイサイド
- クラウドは資本市場のオペレーション効率を実現する
- 経済性とスケーラビリティを獲得するには?
- 「オペレーション・アルファ創出(オペレーション効率を高めることでのアルファ創出)」*を支える戦略的なテクノロジーアプローチ
- レポーティングの自動化:手作業を排除し、スケーラビリティと適時性を達成する
資本市場における完全なるクラウドの世界が出現するまでには、そこへの移行段階での新たな形「ハイブリッド」が必要である。今、グローバル市場では、経済性とスケーラビリティを獲得する方策として、ハイブリッドなアウトソーシングとマネージドサービスの組み合わせが注目されている。
従来、テクノロジーベンダーはライセンスされた技術やソフトウェアを提供し、サービスプロバイダー(ITアウトソーシング、カストディアン、ファンドアドミニストレーターなどのプロセスアウトソーサー)は、カーブアウトやリフトアウトを通じて、バイサイド企業のルーチン・プロセスを外部化することを追求してきた。
クラウドベースのインフラコンポーネント、高度なアナリティクス、オープンソース、ITスタックやアプリケーションのモジュール化などの急速な技術進歩により、革新的な「ハイブリッド」提案のための新たな可能性が生まれている。
*バイサイドにおける「オペレーション・アルファ創出」については、以下のセレントレポートに詳しい: