バイサイドオペレーションのアルファ創出: 未来のハイブリッドプロバイダー・ソリューションとエコシステムのイノベーションを予測する
テクノロジーが進歩し、新たなソリューションの選択肢が増えたことで、バイサイドの運用戦略、ツールボックスおよび戦術の範囲が広がっている
Abstract
この調査シリーズの第1回レポート「バイサイドオペレーションのアルファ創出: フロント・ツー・バック・オフィスのテクノロジー、データ、ESG、アウトソーシングの新たな波に乗る」では、オペレーションの経済性と効率性の向上を追求するために、投資運用会社がどの分野で、どのように新しい戦術を構築しているのかについて検証した。この第2回のレポートでは、エンド・ツー・エンドベースでの投資とオペレーションのカバレッジの提供を増やしている新興のベンダーとソリューションのバリュープロポジションについて、セレントの見解を紹介する。
戦略的要素によってソリューション市場が再形成され、機会が創出されている
投資のバリューチェーン全体を通じて、クラウドベースのインフラストラクチャー・コンポーネント、最先端のアナリティクス、オープンソースパラダイム、およびテクノロジー構成要素とアプリケーションのモジュール化が急速に進み、導入されたことで、革新的な提案という新たな可能性が既に開かれている(今後も続く見通し)。また、デザイン思考やアジャイルな開発/ 実行方法などのデジタルITデリバリーアプローチにより、新機能の販売・展開に要する時間も短縮されている。
ベンダーとソリューションプロバイダーの市場は、様々なレベルで進化している。投資マネージャーやアセットオーナーは、投資可能な資産クラス全体で運用の改善を図っており、更に基本的/ 定量的投資パラダイムや、フロント/ ミドルオフィスのプロセスを統合するためのテクノロジーも模索している。こうした状況を受け、投資テクノロジーのバリューチェーンにおいてベンダーの戦線の再構築と再定義が起きている。
これまでのところ、イノベーションの事例は比較的散発的であるものの、次のようなダイナミクスによって増大し、特徴づけられている。
- アセットマネージャーの中核的な投資エンジンの様々な部分において、モメンタムと導入の動きが拡大し続けており、競争優位性とアルファ創出能力という企業の基盤が変化している。投資に適用される一部のユースケースは破壊的である可能性があるが、他のユースケースは既存のバイサイドのエコシステムに補完的に働く可能性がある(カストディアン、アドミニストレータ、フロント・ツー・バック・オフィスのプラットフォームなどを通じて)。
- ソフトウェア、マネージドサービス、およびアウトソーシングを組み合わせたハイブリッドアプローチに対するエンド顧客からの需要は続いており、フロント・ツー・バック・オフィスのソフトウェアソリューションから、次世代クラウドテクノロジーによって強化され実現した「フルライフサイクル提案」と呼ばれるソリューションへの進化が起きている。
- これは、垂直統合されたプロバイダーという形でもたらされる可能性があり、その場合はすべてのハイブリッドアプローチに及ぶことになる。一方で、戦略的なマルチプロダクト/パートナーの提案という形で具体化された場合は、投資運用会社の顧客向けに包括的なエンド・ツー・エンドのオファリングをまとめて形成することができる。
投資マネジャー、テクノロジーベンダー、ソリューションプロバイダーは気持を引き締め、今出現しつつある新しい世界のどの分野で役割を担い、どのように連携していくのかについて、戦略的な意思決定を行う必要がある。