DIMENSIONS: 欧州のリテールバンキングにおけるITの課題と優先事項:2024年版
データを取り入れた顧客サービスの提供
Key research questions
- 2024年に欧州の銀行のIT戦略を推進する優先事項は何か?
- 商品とITの最重点投資分野はどこか?
- 銀行は生成AI、オープンバンキング、BaaS、エンベデッドファイナンスをどの程度重視しているのか?
Abstract
欧州の銀行セクターにとって、今年はテクノロジー主導の変革の年になりそうだ。IT予算は2023年比で平均5%増加しており、2025年は増加幅がさらに拡大すると予想されている。IT支出の計画は各銀行で大きく異なる可能性があり、北米地域全体の活動を推進するテーマは複数ある。
1つ目は、提案と顧客エクスペリエンスの向上に向けた戦略的必須事項の遂行であり、今後は、デジタルチャネル (中小企業向けを含む)、口座開設のプロセスとワークフロー、オープンバンキング/オープンファイナンスなどの分野に再び焦点を当てることになる。しかし、このテーマと並行して、多くの銀行は効率性の向上とコスト削減の機会にも重点を置いているため、自動化やクラウドの利用拡大の機会も生まれる見込みである。
これらのプロジェクトを支える基盤技術に関しては、データテクノロジーの重視も重要なテーマの1つである。高度なアナリティクスやAI (生成AIを含む) への投資は今後も増え続けると予想され、多くの金融機関は下流のイノベーションやサービス強化をサポートするより強力なデータアーキテクチャにも投資するだろう。さらに、アジリティに関するものも引き続き優先事項になる。多くの銀行では過去の投資が既に実を結んでいるが、大抵の場合はまだやるべきことがあり、「1度限り」の活動では真の変化は実現しない。
銀行業界におけるビジネス上の課題とテクノロジーの優先事項を明らかにするため、セレントは世界のリテールバンクのシニアエグゼクティブを対象に今年で3回目となる 「The Celent Dimensions Survey 2024」を実施した。この調査では、欧州地域の金融機関から参加した76名の回答者の知見や意見をもとに、同地域全体の意識を詳細に分析すると同時に、今後1年間の主なテクノロジーの優先事項と、最も大きな変化が見込まれる商品およびプロセスを明らかにしている。
主な調査結果:
- 回答者の70%は、フィンテックやその他のチャレンジャー企業による競争上の脅威が増していると考えている。
- 50%がIT戦略の重要な推進要因の上位3項目の1つに「顧客エクスペリエンスの向上」の実現に向けた投資を挙げている。
- 30%が商品レベルの主な優先事項に「コンシューマーバンキングチャネルへの投資」を挙げ、「デジタルアイデンティティ」を挙げた回答者の割合も同程度となったほか、26%が「中小企業向けデジタルチャネル」を挙げた。
- 53%がAI技術に関連する新しいユースケースを模索している。
- 71%が2024年に生成AIを使用した新しい顧客向けサービスを開始する予定であると回答している。
リテールバンキング業界への教訓は明らかである。2024年は、すべての地域のリテールバンクにとってイノベーションのための資金確保が大きな戦略ドライバーとなっており、この流れについていけない銀行は後れを取るリスクがある。
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