キャピタルマーケッツ / 欧州バイサイドのIT優先事項と戦略 2023
Abstract
2024年を前に、欧州のバイサイド企業の間では地政学的・経済的な不透明感が強まっている。近年、業績と利益率への下押し圧力は弱まっているが、顧客の期待と効率化の意欲は高まり続けている。セレントが行った2024年以降に関する調査では、IT投資に関する2つの包括的な戦略的ビジネスドライバーが明らかになっている。それは業務スピード/アジリティ―の向上と、商品/提案のイノベーションの促進である。世界中の同業者と同様に、欧州の多くのバイサイド企業は、ますます過密化する市場でユニークな投資提案を発見するために、商品や助言サービスの充実に投資業務の予算を集中させている。また、引き続きデジタル化戦略を積極的に追求し、戦略的な商品提案と差別化された投資エンジンの強化を図っている。これらのテーマは、規制コンプライアンス、顧客エクスペリエンス、システムの最新化に向けた取り組みといった他の目標とも相互に関連し、整合している。
製品への投資では、最も重要な優先事項はいくつかのカテゴリーに分類され、中でもデジタルによって強化されたツールとアナリティクス、ポートフォリオのカスタマイズ、ESG商品の提案、豊富なコンテンツ (リサーチ、データ、アナリティクス) は、多くのバイサイド企業にとって「必須項目」であり、セレントが分析した欧州地域全体で高い重要性があるとの認識が示されていた。
最先端を行くバイサイドの投資会社は、商品/提案のイノベーションへの野心に沿う形で、販売とポートフォリオ管理の「戦略的な橋渡し」となる商品管理機能の向上を図っている。こうしたバイサイド企業は、デジタル技術と高度なデータサイエンスの手法を活用し、現場から寄せられる顧客ニーズに関する洞察と優れたポートフォリオ管理機能を組み合わせる役割をフロントオフィスチームに課すことで、資金フローを呼び込み、成長を促進するという野心を追求している。
もう1つの顕著な傾向として、ワークロードをクラウドに移行させるという動きがあるが、状況は分析を行った地域によって微妙に異なっており、どのワークロードを移行するのが適切かは、各社がリスク許容度と規制要件に基づき独自に判断している。
セレントの調査では、アセットマネジャー、ヘッジファンド、年金ファンド、ミューチュアルファンド、ソブリンファンドから収集したデータを基に、欧州のバイサイド企業で課題のトップに上がっているテクノロジー、製品投資、戦略的優先事項にスポットを当てている。本レポートのインサイトでは、英国および北アイルランド、西欧および北欧、南欧および東欧諸国という3つの地域と異なる企業階層を比較し、ニュアンスの異なる見解を示している。市場の変動にもかかわらず、バイサイド企業は依然として現代化や製品強化の様々な取り組みをサポートする必要があり、企業は自社の技術計画が一致していることを確認する必要がある。
この調査は、セレントのレポート「2023年キャピタルマーケッツのバイサイドにおけるITの戦略と優先事項」に付随するものである。
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バイサイド、セルサイド、市場インフラ企業のトレンドとテクノロジーインサイトに関する詳細な調査については、セレントのキャピタルマーケッツ・プラクティスをご覧ください。
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