国境を越え、障壁を打ち破る: グローバル決済の未来
クロスボーダー決済入門編
Abstract
クロスボーダー決済をめぐる状況は、変革の局面を迎えている。2030年までに取引規模が300兆ドル近くに達すると推定される中、このセクターの複雑さに対応する準備ができている企業には魅力的な機会が広がっている。業界関係者は、真っ向から課題に対処し、テクノロジーの進化を活用することによって、この市場の大きなポテンシャルを解き放ち、グローバルな金融エコシステムにおける豊かな未来を確保することができる。
本レポートでは、クロスボーダー決済の基礎を解説し、その複雑さと根本的な課題を認識しつつ、成長ドライバーと競争環境を掘り下げる。最後に、金融機関とテクノロジー企業がこの市場のポテンシャルを最大限に生かすための提言を示す。
本レポートの主な分析結果は以下の通りである。
•成長とそのドライバー:クロスボーダー決済の市場規模は、グローバル資本市場の拡大、国際貿易、デジタルエコノミーに後押しされ、2030年までに300兆ドル近くに達すると予想される。この市場拡大を促進している注目すべき要因は、米ドル以外の通貨へのシフトとB2Bの電子商取引の成長である。
•課題:顧客もプロバイダーも、高いコストや処理時間の長さ、透明性の欠如、限られたアクセシビリティをはじめ、いくつかの課題に直面している。これらの問題点は、クロスボーダー取引に固有の複雑性、規制のハードル、レガシーインフラから生じている。
•業界全体のイニシアチブ:これらの課題に対処することを目的とする業界全体の極めて重要なイニシアチブが「クロスボーダー決済の改善に向けたG20ロードマップ」とISO 20022標準の採用である。効率性とアクセシビリティを改善するためには、APIの統一化と国内決済システムとの相互接続に向けた取り組みが極めて重要となる。
•競争環境:競争環境は多様で、従来型の銀行、フィンテック企業、デジタルアセット企業が入り乱れており、それぞれがクロスボーダー決済の課題に対処するために革新的なソリューションをもたらしている。戦略的パートナーシップと新興テクノロジーの活用は、競争力を保つための重要な戦略である。
•業界関係者への提言:銀行がクロスボーダー決済分野の機会に乗じるには、パートナーシップを積極的に受け入れ、規制とコンプライアンスを機会として捉え、AIを活用して効率化を図り、業界全体のイニシアチブに積極的に関与する必要がある。
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