セレント・モデルリスクマネジャー・アワード2023 受賞企業発表
今年の受賞プロジェクトは、リスクマネジメントとコンプライアンス機能における変革的テクノロジーの発展を示している
セレント・モデルリスクマネジャー・アワード2023受賞企業:Bank of America、CIBC、Enfuce Financial Services、Fifth Third Bank、HSBC、Societe Generale、Truist Financial Corporation、VP Bank
以下に記したリンクから、受賞プロジェクトの詳細なケーススタディレポートおよびインタビュービデオにアクセス可能。
モデルリスクマネジャー・オブ・ザ・イヤー2023受賞企業:HSBC - 大規模なクラウドベースの金融犯罪検出
カテゴリー:金融犯罪コンプライアンス
概要:HSBCは、マネーロンダリング防止(AML)に向けた主要なトランザクション監視システムとしてクラウドベースのAIプラットフォームを導入した。この新システムはGoogleと共同開発したもので、Googleは中核となるAIプラットフォームを提供、Googleクラウド上でこれを運用する。一方HSBCは、金融犯罪検出の分野での専門知識と、AIモデルの教育に必要な膨大なデータを提供している。この取り組みについてセレントは、リスク機能のデジタル基盤への全体的な移行という点で重要だと考えている。
受賞企業:Bank of America - Virtual On Watch
カテゴリー:オペレーショナル・レジリエンス
概要:Bank of Americaのオペレーショナル・インテリジェンスチームは、インシデント対応のワークフローを自動化するツール、Virtual On Watchを開発した。このツールは、対応チームのコミュニケーションと連携を自動化・調整するだけでなく、ほぼリアルタイムで情報を提供してトリアージ中の正確な判断を可能とする。これにより、リテールバンクの主要サービス関連のインシデント解決に要する時間が33%削減された。
受賞企業:CIBC - AI/MLクラウドプラットフォームの統合
カテゴリー:データ管理およびアナリティクス
概要:銀行全体で人工知能(AI)と機械学習(ML)の導入を促進すべく、CIBCはクラウドに共有型AI/MLプラットフォームを構築した。ガバナンスとセキュリティの問題に事前に対処することで、事業部門はそれらの機能を迅速、効率的かつ安全に導入し、拡張することができ、オープンソース・オファリングのほか、エンタープライズスケールと共有サービスによるメリットを得ることができ、同時にパブリッククラウドの拡張性と先進的な機能を享受することができる。顧客には、特定の事業部門だけでなく銀行全体でAI/MLを活用したソリューションがもたらすパーソナライズ、利便性、スピードのメリットがある。
受賞企業:Enfuce-サービスとしてのカード不正防止
カテゴリー:金融犯罪コンプライアンス
概要:クラウドベースのカード処理会社Enfuceは、不正行為から顧客を高度に守るべく、不正検出のためのAIプラットフォームFeaturespaceを導入した。同社は不正行為のアラートと分析に関するマネージドサービスも提供している。クラウドベースのリアルタイムソリューションによって、不正の発生時に迅速に対応できるほか、モデルをアップデートして同様の不正行為を防ぐことができ、これは本プロジェクトの革新的な側面である。
受賞企業:Fifth Third Bank - 優れた気候リスク管理
カテゴリー:エマージング・リスクへの対応
概要:規制対応と投資家の圧力が高まる中、銀行にとって気候変動リスク評価は不可欠なものとなっている。Fifth Thirdは、トランジションリスクが商業ローンポートフォリオに与える影響を測定・監視することにいち早く取り組んだ企業として知られている。同行のこの取り組みの成功は、強力なリスクガバナンス基盤、データ主導のアプローチ、ベンダーとの強力な提携、効果的な従業員教育という4つの重要な要素の結果である。
受賞企業:Societe Generale – キャピタルマーケッツにおける通信監視の自動化
カテゴリー:Regtechの運用実現
概要:キャピタルマーケッツ取引で使用される通信チャネルが急増しデジタル化が進む中、Societe Generaleは取引監視アプローチを現代化する必要があると考えた。しかしそのニーズを満たせる市販ソフトウェアが見つからなかったので、ビッグデータ分析、自然言語処理、AIなどのクラス最高のテクノロジーを活用し、社内でその機能を構築することにした。当プロジェクトは、新しく、多くがオープンソースのテクノロジーを使用していること、そしてその規模において優れている。
受賞企業:Truist Financial Corporation - 生体認証で不正行為を排除
カテゴリー:新たなリスクへの対応
概要:Truistは、顧客がパスワードを無効にし、生体認証を使ってアカウントにログインする方法を考案した。この方法でパスワードを「ロック」すれば、最も多い詐欺の手口の一つであるクレデンシャルスタッフィング攻撃からアカウントを守ることができる。この取り組みは、同行の大規模なリテール顧客基盤の教育と、より強固なゼロトラスト・セキュリティへの転換を目的としている。不正行為による損失を防ぎ、セキュリティへの意識を高め、レピュテーショナルリスクを緩和する本プロジェクトにより、Truistはアカウントセキュリティのリーダーとして位置づけられている。
受賞企業:VP Bank - 自動化によるオペレーショナルリスクの軽減
カテゴリー:データ管理とアナリティクス
概要:ベトナムへの外国投資の増加に伴い、VP Bankは法人顧客に通貨・金利スワップを提供しようとしたが、同行の基幹システムではその複雑さに対応できなかった。そこで、プロセスを自動化すべくKondor Treasuryシステムを導入した。この導入の結果、VP Bankは日次ベースで値洗いを行える唯一の銀行となり、更にベトナム会計基準とIFRSの両方に準拠する唯一の銀行となった。リスク管理能力が商品販売の差別化ポイントとなった代表的な事例であることから、セレントはVP Bankを受賞企業に選出した。