ニューノーマルへのIT適応:LIBORトランジションに挑む
7 November 2020
Eiichiro Yanagawa
セレントは、日本とAPACの金融業界における「LIBORトランジション」のインパクトを把握するため、金融機関、ITベンダーを対象にオンラインサーベイと個別インタビューを継続的に実施しています。本稿は、2020年秋に実施したサーベイ「ニューノーマルへのIT適応:LIBORトランジション」の分析を通じて、日本市場の準備状況と課題、対応策を考察します。
Abstract
ロンドン銀行間貸出金利(LIBOR)は一連の「金利指標」であり「世界で最も重要な数字」と呼ばれています。 LIBORは貸出・債券・デリバティブなどの価格設定のための世界的に認知された基準金利です。金融サービスインフラの重要な部分として240兆ドル以上の商品がLIBORを参照しています。
LIBORには様々な課題があり、世界の規制当局はLIBORの恒久的な公表停止目標期日を発表し、代替レートを特定・作成するプロセスを開始しました。しかし、これらの代替指標はLIBORとは構造的に異なるものであり、LIBORを参照する既存の商品がどのように変化し、どのような新商品が登場するかは未知な部分も存在します。顧客やマクロ経済に大きな影響を与える可能性がありこれがどのように展開されるかは不確実です。
それは最終的なゴールではないかもしれませんが、2021年に世界の金融市場は大きなトランジションを経験するでしょう。日本市場にとっても2021年はまだ遠いと思われるかもしれないが、その移行の大きさと金融市場へのインパクトを考えると金融機関は既にその対応に向けた総動員を開始すべきタイミングと言えます。