中国におけるアルゴリズム取引:注文執行、トレーダー、テクノロジーの進化
Abstract
2011年に中国で行われた証券取引のうちアルゴリズム取引が占める割合は約0.6%と推計され、この割合は2013年には2.5%に拡大するとみられます。A株市場でアルゴリズム取引が利用されるケースはまだ極めて少ないものの、B株市場ではもう少し前向きな動きがみられます。一方、株式指数先物市場ではアルゴリズム取引が積極的に行われています。
セレントの最新レポート「中国におけるアルゴリズム取引」は、同国のアルゴリズム取引の市場規模、投資家セグメント、規制当局、先進的な取引執行をサポートするソフトウェアプロバイダーや市場データベンダーについて取り上げています。今後2年間は、ヘッジファンドや証券会社がアルゴリズム取引の主な顧客となるでしょう。また、アルゴリズム取引やHFT(高頻度取引)をサポートする市場データサービスが急速に進歩するとみられます。
中国のアルゴリズム取引市場に積極的に進出しているベンダーとしてHundsun Technologies、SunGard、TradeBlazer、Webstock、Tinysoftなどが挙げられます。一部の中国ベンダーも、外資系ベンダーや金融機関と共同でアルゴリズム取引システムの開発に成功しています。例えば、Hundsun TechnologiesはUBSおよび野村証券と提携しています。
「欧米で行われているアルゴリズム取引をそのまま中国に当てはめることはできません。ある程度の修正やローカライズが必要になります。欧米市場と中国市場を比較すると発注や市場データのスピードに違いがあるほか、中国では株式の決済日がT+1となっています。今後は株式指数先物をはじめとする先物市場でアルゴリズム取引の利用が拡大し、株式市場を上回る規模に発展する可能性があるでしょう」と、セレントのアジア金融サービスグループのアナリストでレポートを執筆した フア・ジャンは述べています。