取引可能なアセットとしてのデジタル・アイデンティティ
2018/05/25
デジタル・アイデンティティのトークナイゼーションは、既存の経済における様々な摩擦や問題点を大幅に解決できるのみならず、新たなビジネスチャンスを生み出すものです。非常に大きな力を秘めていると言えるでしょう。
Key research questions
- 分散型デジタル・アイデンティティとは何か?
- トークナイゼーションは既存経済の構造をどう変えるのか?
- パブリック・ブロックチェーンがつくる証券取引ユーティリティの未来像とは?
Abstract
デジタル・アイデンティティはデジタルコマースの中心的要素であり、分散型経済においても中心的存在を担うことになるでしょう。ブロックチェーンが備える、ハッシュや改竄が出来ない点(immutability)、透明性などの特徴を利用すれば、イノベーティブで柔軟性の高いソリューションを特定の分野(例:KYC/AML)において実現できるでしょう。
証券取引におけるユーティリティモデルは、そのコスト効率の高さから、長期間にわたって議論され、実際に運用もされてきました。しかしながら、伝統的なユーティリティモデルは常にある種の問題を抱えてきたことも事実です。ユーティリティモデルの参加企業間で同一のビジョンを共有することの難しさや、ビジネスケース、投資対効果、そしてガバナンスの点です。
本レポートでは、パブリック・ブロックチェーンの構造上の利点を考察し、ガバナンスや標準化、経済的なメリット、そしてコンプライアンスに対応できる新たなユーティリティモデルを模索します。