世界の証券取引所の展望
2007/10/09
Abstract
(このレポートは2007年10月9日に"Global Securities Exchanges Landscape"というタイトルで英文および仏文で発表されましたが、和訳版を2008年2月27日に発行しました。)
世界の資本市場では取引所の株式会社化や統合、代替取引システムによる攻勢といった動きを機に大規模な構造変化が進行中です。
世界の取引所は急速に進化しています。世界的な競争の激化に伴い、会員が所有する非営利的な組織から上場企業へと多くの取引所はその構造を変えつつあります。世界の12の主要取引所は全て株式会社化されており、そのうち未上場企業は4社のみとなっています。
取 引所業界では地域または世界レベルでの統合が進み、その動きはここ2年間で一層加速度を増し、ニューヨーク証券取引所とユーロネクストの合併(その結果世 界最大の証券取引所が誕生)に続いてシカゴ・マーカンタイル取引所とシカゴ商品取引所も統合されました(世界最大のデリバティブ取引所が誕生)。セレント は最新レポート「世界の証券取引所の展望」で、取引所の株式会社化や統合は当面の間続くと予測しています。
「株式会社の組織構造にすることで、柔軟性を高め、厳しい競争に耐えることができます。また、統合によって、取引活動の拡大と収益源の多様化に向けて収益とコストのシナジー効果を高めることができます。」とアナリストでレポートを執筆したペリン・フィオリナは述べています。
レポートでは以下の点についても論じています。
- 多くの取引所では収益源の多様化を進め、株式上場、取引、情報サービスだけでなく取引後のサービスやテクノロジーの提供も行っています。また、証券とデリバティブの両方を手がける取引所も増えています。
- 米国のニューヨーク証券取引所とナスダック取引所は売買高でなお世界をリードしていますが、ここ2年間で最もダイナミックかつ急速な成長を遂げているのはアジア太平洋地域の取引所です。
- 2006年の取引所による新規株式公開は全世界で1,729件を数え、資金調達額は計2,460億米ドルに達しました。2007年上期もこの勢いは続いています。
- デリバティブ商品の取引は拡大中で、2000年から2006年にかけて世界のデリバティブ取引売買高は平均で年率22%の伸びを記録しています。
本レポートでは、代替取引システム(ATS)、ブローカー、未公開株投資会社などとの競合にさらされる主要な株式・デリバティブ取引所の戦略についても分析しています。