日本の金融業界におけるレガシー・モダナイゼーション パート2:自動車産業における現代化の歴史が金融業界に示唆するもの【日本語】
Abstract
このレポートには英文版 "Legacy Modernization in Japan’s Financial Industry, Part 2: What the Auto Industry Can Teach the Financial Sector" (2015年9月16日発行)もあります。
このシリーズでは、日本の金融業界における、レガシー・モダナイゼーションの現状と今後の方向性を考察します。パート1のサーベイの 結果分析では、日本の金融業界における基幹系システム現代化への取り組みは「検討段階から実施段階に入っており、今、正に必要なものは、レガシー・モダナ イゼーション方法論である」との知見を得ました。Part 2では、こうした日本の現状を踏まえ、サーベイ結果の分析を深め、今後の方向性を考察します。他産業での産業革命の含意を自動車産業に求め、日本の金融業 界への提言も述べます。また、その方法論として、セレントの「レガシー・モダナイゼーション・フレームワーク」も紹介します。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 自動車産業におけるモダナイゼーションはどのように進展したか? |
2 |
自動車産業の現代化の歴史が日本の金融業界に示唆するものは? |
3 | 現代化戦略策定の方法論は? |
前世期最大のイノベーションともいえる自動車産業は今世紀に入ってもその「新陳代謝」を続けています。自動車産業において、現代化は以下のように進展したとセレントは考えます。
- 生産方式の進化によって、需要サイドに新たな消費者、消費形態、ライフスタイルが生まれた。
- 製品・サービスの黎明期には、需要サイドのニーズが一気に拡大し、供給サイドは「販売戦略」のみならず、「コスト構造」を大変革させることが要求された。
- 生産とマーケティングを計画的に統制するためには、販売チャネルの変革だけでは足らず、柔軟な生産ライン(基幹システム)が必要であった。
これらが日本の金融業界のレガシー現代化に示唆することとは?
「今 日のクルマは、「高度な工業製品」から「安全で快適なモビリティ」へ、「モノ」から「コト」への変貌を加速しています。こうした変化の歴史は、1880年 台のダイムラー、1910年台のフォード、1920年台のスローン、そして1950年台の大野耐一など、正に、破壊的な企業家(ディスラプティブ・アント レプレナー)に牽引されてきました。技術と市場、そして組織のダイナミズムは、決して偶然や自然発生ではなく、技術革新と事業に誰よりも熱心な人々(イノ ベーター)によって意図的に引き起こされてきたのです」とアジア金融サービスグループのシニアアナリストでレポートを執筆した柳川英一郎は述べています。
本レポートは、24p、14図、2表で構成されています。