自立志向型投資家の獲得競争:証券会社と銀行におけるオンラインブローカレッジの現状
Abstract
ここ数年、経済環境が不透明で厳しい状況が続いているにもかかわらず、自立志向型のアクティブな投資家の取引市場は2012年に5%とやや緩やかながらも成長を遂げています。その主な牽引役になっているのはアクティブ取引を行う投資家で、その数は年々増加しつつあります。
セレントがオンライン証券業界に焦点を当てたシリーズレポートの第1弾として発行する「自立志向型投資家の獲得競争」はこの分野の取引活動、選好商品、ブローカレッジシステムの主なトレンドと発展状況を明らかにしています。また、ブローカレッジ業務を行う銀行によるオンライン取引の拡大状況についても取り上げています。
投資家の間では自らの投資ポートフォリオの管理を強化しようとする動きが強まっており、自立志向型投資家向けのブローカレッジ市場はさらなる進化を続けています。
「自立志向型投資家の市場は常に変わり続けており、この1年半の間にも様々な変化が起きています。例えば、女性の数が増加傾向にあること、伝統的な投資家よりアクティブ取引を行う投資家やトレーダーの割合が増えていることなどは、以前から続いている動きです。一方、より破壊的な影響を持つトレンドも見られます。モビリティやソーシャルメディアは成熟しつつあり、今やオンライン証券会社の主力チャネルとなっています。また、HTML5やクラウドベースの取引プラットフォームも存在感を高めつつあります」と、セレント証券グループのアナリストでレポートの共同執筆者であるアレキサンダー・カマルゴは述べています。
銀行はチャネル統合や既存顧客からの預かり資産拡大に注力していますが、オンライン・ブローカレッジは有望なビジネスチャンスとなっています。
「ブローカレッジ業務を手がける銀行はウェルスマネジメント部門の継続的な再編によって、細分化の進むセグメントやサービスモデルを補完しようとしており、オンライン取引はこうした戦略を支える柱となっています。これらの銀行は、既存のインフラと商品ラインを活用することで『ハイブリッド型』のサービスモデルを構築することができます。これはオンライン取引のほかに、支店に担当者を常駐させ、コールセンターにアクセスするためのPINを提供するなどして、簡単なアドバイスを求める投資家に対応するものとなるです。こうしたサービスは、自立志向型口座を開設したいが低コストの投資アドバイスは受けたいというリテールバンキング顧客を取り込む上で鍵となるでしょう」と、リサーチディレクターでレポートを共同執筆したイザベラ・フォンセカは述べています。
レポートでは初めに自立志向型投資家の市場をセグメントに分け、ターゲットとする顧客セグメントに基づいて米国のオンライン証券会社を分類しています。次に、個人投資家の投資志向と顧客グループの内訳を解説し、その投資目的と取引戦略を詳しく紹介しています。また、自立志向型投資家の現在および将来の数を予測しています。さらにこれら投資家に共通する売買注文の種類を分析し、オンライン証券が提供するサポート機能や清算機関がサポートするオンライン取引機能を紹介しています。
また、クラウド、モビリティ、ソーシャルメディアなどの最新テクノロジーについても取り上げ、独立型のオンライン証券会社と銀行系ブローカーディーラーがこうした分野で「自社開発」と「既製システムの購入」のいずれの戦略をとっているか、銀行のブローカレッジ市場の拡大要因、テクノロジー、課題、ビジネスチャンスについて、オンライン取引に焦点を置いて分析しています。
最後に、オンライン証券業界の今後の見通しと様々なタイプの個人投資家の拡大状況について論じ、オンラインブローカレッジに従事する会社が市場で差別化を図るために何をすべきかを提言しています。
本レポートは34p、5図と12表で構成されています。