流動性管理:規制とビジネスのバランス【全訳版】
Abstract
(このレポートは2013年5月31日に"Liquidity Management: Balancing Regulation with Business"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2013年8月7日に発行しました。)
銀行が規制に対応しつつ、流動性を管理することは非常に難しくなっています。
全ての銀行にとって流動性は重大な問題ですが、新たな制約も生じています。銀行がグローバルに事業を展開する上で、規制環境は大きな影響を及ぼす要因です。セレントの最新レポート「流動性管理:規制とビジネスのバランス」は特に注目される規制の概要を説明し、これらがビジネスおよびテクノロジーに及ぼす影響を分析した上で、IT投資計画の枠組みを提示しています。その内容は課題の概要を明らかにすることが目的であり、コンプライアンス担当者に技術に関する詳細なアドバイスを提供するものではありません。
銀行にとって流動性の管理は以下のような理由から今後数年でさらに重要になると思われます。
- 規制当局はシステマティック・リスクの管理手段として、流動性に注目している。
- 銀行は収益性を最大化するための戦略を策定しなければならない。
銀行が規制遵守のために必要な投資規模を「X」とすると、商品拡充を通じて成果を上げるために必要な投資規模は「X+1」となるでしょう。大手銀行は投資を回収するために、顧客向けの総合的な流動性管理ソリューションの開発に注力するものとみられます。
「銀行は、法人顧客向けのより強固で総合的な流動性管理ソリューションの開発に乗り出すとみられます。それは銀行にとって、収益拡大と価値提案を向上させるきっかけにもなるでしょう」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したロバート・マンチーニは述べています。
レポートでは、銀行の流動性管理に関するハイレベルな規制上の課題とトレンドに焦点を当てています。第1項ではバーゼルⅢとドッド・フランク法を取り上げ、規制強化を促進させる要因は何かを概説します。世界の主要市場で銀行が規制遵守の姿勢を維持するためには、これらの規制が定める要件を満たさねばなりません。さらにレポートでは、銀行が直面する課題と収益に及ぼす影響について論じています。最後に、銀行にとってどのようなビジネスチャンスがあるかを探っています。
本レポートは28p、5図と5表で構成されています。