ブラジルにおける上場デリバティブ取引:規制、市場構造およびテクノロジー
A Focus on Regulations, Market Structure, and Technology
Abstract
ブラジルのデリバティブ市場は中南米最大の市場であり、同地域で唯一世界のデリバティブ市場のトップ10に名を連ねる規模を維持しています。ブラジルでは今後経済成長率の鈍化が予想されますが、同取引所における取引拡大の勢いは変わらないとみられ、2011年のデリバティブ取引の契約件数は過去最高に達するでしょう。
セレントの最新レポート「ブラジルにおける上場デリバティブ取引:規制、市場構造およびテクノロジー」は、中南米最大の経済圏であるブラジルのデリバティブ取引について取り上げています。ブラジル商品先物・証券取引所は引き続き同国のデリバティブ取引の成長エンジンであり、全取引の90%以上がここを通じて標準化、売買、集中清算されています。同取引所は、2010年末時点で世界第6位の規模を持つデリバティブ取引所に成長しています。
ランク |
取引所 |
2010年取引契約数 |
契約件数の成長率 |
1 |
Korea Exchange |
3,748.9 |
20.8% |
2 |
Group (includes CBOT and Nymex) |
3,080.5 |
19.0% |
3 |
Eurex (includes ISE) |
2,642.1 |
-0.2% |
4 |
NYSE Euronext |
2,154.7 |
24.6% |
5 |
National Stock Exchange of India |
1,615.8 |
75.9% |
6 |
BM&FBovespa |
1,422.1 |
54.5% |
7 |
CBOE Group (includes CFE and C2) |
1,123.5 |
-1.1% |
8 |
Nasdaq OMX |
1,099.4 |
34.8% |
9 |
Multi Commodity Exchange of India (includes MCX-SX) |
1,081.8 |
180.7% |
10 |
Russian Trading Systems Stock Exchange |
623.99 |
31.5% |
出典: FIA, 取引所データ, Celent |
「ブラジル商品先物・証券取引所の成長が今後も続くとみられる理由は、いくつかあります。長期的な成長のカギとして、規制環境が安定的かつ明確であることに加え、同取引所がアクセス方法、待ち時間、処理能力を改善するためのシステム開発に持続的に取り組んでいることが挙げられます。特に、新たなマルチアセット取引プラットフォームの開発や取引後システムの統合およびインフラ開発への取り組みは、中長期的にみて有益といえるでしょう」と、セレントのアナリストでレポートを執筆したアレキサンダー・カマルゴは述べています。
レポートではまず、ブラジルのデリバティブ取引と市場構造をめぐる規制環境の概要を説明しています。その上で、同国のデリバティブ取引所であるブラジル商品先物・証券取引所に焦点を当て、その商品、市場へのアクセス方法、提携先、取引所決済について紹介しています。次に、同取引所の最近の成長の経緯を簡単に示しています。最後に、同取引所の市場アクセスと取引に影響を及ぼすとみられる国内の景気および規制動向について論じています。