銀行における顧客分析の導入状況:リーダーシップ不足【抄訳版】
Abstract
(このレポートは2014年9月に"Customer Analytics Adoption in Banking: When Management Doesn’t Lead" というタイトルで英文で発表されましたが、抄訳版を2014年10月23日に発行しました。)
*ダウンロード:レポート(日本語)=抄訳版PDF、(英語)=原文レポートPDF
銀行業界で顧客分析があまり利用されていない背景には、2つの原因があると考えられます。すなわち、多くの銀行でデータ分析が未成熟な段階にあることと、経営幹部のリーダーシップが欠如していることです。ほとんどの銀行ではデータ主義のカルチャーが根付いていない上、関心の低さも見受けられます。
データ分析は複雑なテーマであり、複雑な作業でもあります。セレントの最新レポート「銀行における顧客分析の導入状況:リーダーシップ不足」は、銀行業務において顧客分析(顧客データに関する予測分析)が担う役割とその重要性が増している理由について分析しています。そうした現状にもかかわらず、今回の調査対象となった北米銀行のうち3分の2は、顧客分析についていまだ検討または試験段階にあります。
レポートではまず、戦略上、またそれらを達成する上で最も重要と考えられるテクノロジーは何か、次に、データ分析が未成熟である現状とその理由を明らかにする一方、顧客分析に関する様々なアプリケーションの採用状況と今後の採用見通しを示しています。
今後5年間で顧客エンゲージメントの電子化はさらに進むとみられ、顧客分析の導入はもはや選択肢ではなくなるでしょう。これによって顧客分析は、少数の銀 行が取り組むプロジェクトから大部分の金融機関にとってのコア・コンピテンシーへと進化するでしょう。そうした中、銀行の多くは遅れを取っています。
「多 様な顧客分析アプリケーションの採用が広がっているにもかかわらず、多くの銀行にはデータ主義のカルチャーが育っていない上、関心も低いように思われま す。こうした銀行の経営幹部がデータより自らの判断を信じる姿勢を変えない限り、顧客分析の本格的利用に向けた取り組みの優先順位は低いままでしょう」 と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したボブ・メーラは述べています。
結論では、分析およびデータ重視のカルチャー醸成に取り組む銀行への提言をまとめています。