金融業界におけるXML Webサービス:ファイアウォールを超えた連携は実現するか?
Abstract
米国金融業界におけるWebサービスおよびXML技術に対する投資額は、2007年には14億ドルに達するとセレントは予測しています。
今日、金融機関のIT部門責任者がアプリケーション統合のためにサポートしているプロトコルの数は平均すると20から25に上っています。しかし、これらの異なるプロトコルのサポートに要するコストがアプリケーションの統合によってもたらされる利益を上回るケースもみられます。今年から来年にかけてEAIへの投資額は米国金融サービス業界だけでも年間11%以上増加するとみられています。
XMLベースのWebサービスを導入すれば、プロトコルを業界標準となる1つの仕様に統合することも可能です。 金融機関は、合併・買収に伴うシステム統合、顧客および商品データベースの統一、業務機能の統合・自動化・アウトソースに係るコストの削減策を常に追求しており、プロトコルの標準化は重要となるでしょう。
しかし、1998年にXML技術を採用して以来Webサービスは著しい進歩を遂げているとはいえ、今日の金融ビジネスに欠かせない複雑なプロセス(特に複数の企業が関わる場合)を担うするところまでは充実していないのが実状です。「Webサービス導入案件のうち約3分の2は社内のアプリケーション統合に関わるもので、顧客、提携相手、公開されているWebサービスなどと統合するケースよりも多くなっています」とセレントのシニアアナリストでこのレポートの著者であるマイケル・ヘイニーは述べています。
競合する金融機関同士が初めて手を結ぶ、という意味においては金融業界全体の発展につながる、という共通の目的のもとで、ビジネスアプリケーションやプロセスの統合をサポートする技術の開発に業界をあげて取り組んでいる、と評価できます。この協力精神が維持される限り、米金融サービス業界におけるWebサービスおよびXML技術に対する投資額は2007年には14億ドルまで拡大する見通しです。「XML Webサービスのコンテンツ重視のアーキテクチャを採用したい金融機関は、業界全体の利益を考えて引き続きベンダー側に知的所有権の解放と協力を促すべきでしょう」とヘイニ―は指摘しています。
レポートの前半では、XML Webサービスの技術的進化に関する検証とアーキテクチャの様々なコンポーネントノ説明に加え、Webサービスの利用を奨励している組織などを紹介しています。また、XML Webサービスの利点と限界、今後予定されている標準仕様の機能強化についても論じています。さらに、金融機関がそれぞれのニーズに合ったアプローチを選択できるよう、様々なベンダーのソリューションの特徴やXMLのデータモデルを掲載しています。最後に、金融サービス業界の様々なサブセクターにおけるXML Webサービスの利用状況についても調査しました。
本レポートは14の表と21の図を含む42ページで構成されています。