インド株式市場のプリトレードリスク管理システムから学ぶこと
Abstract
インドの株式流通市場では取引前のリスク管理が非常に重要な役割を果たしており、その点で世界の他の多くの市場とは異なっています。同国では、顧客が行った取引の担保を証券会社が取引所に預け入れるのが慣行となっています。
セレントの最新レポート「インド株式市場のプリトレードリスク管理システムから学ぶこと」は、インド株式市場の現物およびデリバティブ取引のリスク管理をめぐる業務慣行について説明しています。市場関係者は現行のリスク管理システム(RMS)に満足しているものの、証券会社の自由裁量権の拡大など、まだまだ改善の余地はあります。同時に、インド市場における取引前の徹底したリスク管理システムは、他の市場の監督当局や市場参加者にとって大いに参考になるものであり、同様のシステムの導入を検討する市場もあるでしょう。
ナショナル証券取引所(株式デリバティブの主要取引所)の2010年のデリバティブ取引の売買代金は2009年の2.3兆ドル(約209兆円)から64%増加して3.8兆ドル(約345.5兆円)に達しています。このうち株価指数オプション取引の割合が34%から46%に上昇する一方、株価指数先物取引は32%から22%に低下しています。インドでは市場の急速な拡大や先物・オプション市場における商品構成の変化に対応するため、徹底したリスク管理システムの確立が求められています。
出典:セレント
「インドで実践されているリスク管理は、世界のいくつかの主要市場で現在採用されているリスク管理システムの代替手段となる可能性があります。取引前の規制強化によるシステミック・リスクの軽減を目指している当局や取引所にとって、インドのリスク管理の枠組みは参考となるでしょう」とセレントのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。
このレポートは2図と1表を含む26ページで構成されています。