取得時価格の報告をめぐる業界最新動向
Abstract
取得時価格の報告を義務付ける規制の第一弾が施行されましたが、システム要件、規制、金融機関の導入状況は今後も進展を続けるとみられます。
セレントはここ半年間に、50近くのブローカー・ディーラー、ミューチュアル・ファンド、証券代行機関、カストディアン、プライム・ブローカー、テクノロジープロバイダーに取材を行い、取得時価格の報告に関する現状を調査し、その結果を最新レポート「取得時価格の報告をめぐる最新業界動向」にまとめました。調査では、取得時価格の報告に関する規制の第一弾が施行された後の市場の主な動向に焦点を当て、金融機関が報告要件を満たすためどのようにシステム導入を進めているのかを調査しています。
多くの金融機関は社内でトレーニングを実施したり、新規採用を行ったりして準備を進めていますが、変更内容を投資家に周知できていません。より積極的な情報提供を行うことで、投資家からの質問が集中する事態を防ぐことができるでしょう。
「金融機関には、様式1099-Bをはじめ、取得時価値の報告に関する問い合わせが殺到するとみられます。今回の報告義務は一見したところ単なるコンプライアンス要件のように思われますが、金融機関にとっては顧客との関係を強化し、信頼と透明性の向上をアピールできる絶好のチャンスといえるでしょう」と、リサーチディレクターでレポート共同執筆者のイザベラ・フォンセカは述べています。
「2010年に取得時価格の報告を義務づける新規制が発表された際、多くの運用会社はその内容の複雑さと必要な対策の範囲の広さに驚きました。2012年および13年の施行日前後の計算は非常に複雑になるため、対応もさらに難しくなります。金融機関は、2013年に施行予定の債券に関する規制に備えて早めに対策を講じることが重要です」と、アナリストで共同執筆者のアレキサンダー・カマルゴは述べています。
レポートでは取得時価値の報告について説明するとともに、規制改正に伴いコンプライアンス要件がどう変化したかを明らかにしています。また、取得時価値の報告を通じて最終顧客に付加価値を提供できる分野を分析し、金融機関とテクノロジーベンダーの動向を紹介しています。さらに、市場セグメントと金融機関の規模別に、それぞれが抱える主な課題とIT上の判断を解説しています。システム上のニーズと報告に必要な機能についても市場セグメントごとに詳しく示しています。そして、2011年1月1日付の最初の施行を受けて明らかになった課題や教訓を分析しています。最後に、取得時価格の報告が今後どのように進展するかを予測しています。