2012年 個人向けリモート・デポジット・キャプチャーの最新動向:デスクトップ型の終焉
Abstract
モバイル・リモート・デポジット・キャプチャー(RDC)は個人の間で広く普及することが確実とみられるのに対し、デスクトップRDCは銀行での導入があまり進まないと予想されます。
RDC は当初、特別なキャプチャー・デバイスを利用する企業顧客向けの製品として開発されました。ここ数年は、信用組合を中心に数百に上る金融機関が、個人が既 に所有しているデバイスを通じたキャプチャー・サービスを提供するようになり、スキャナーの設置・サポートなどのコストが不要になっています。その結果、 RDCは実現可能なセルフサービス・チャネルとなり、スキャナーさえあれば誰でも利用できるようになりました。ただし、米国の一般家庭はほとんどがスキャ ナーを備えていないため、利用者はもっぱら中小企業に限られています。より普及が広がっているのはモバイルRDCで、スマートフォンを通じて単独のアプリ ケーションか、幅広いモバイルバンキング・ソリューションの一部として利用できます。
セレントが行った調査の結果をまとめた最新レポート「2012年 個人向けリモート・デポジット・キャプチャーの最新動向:デスクトップ型の終焉」 によると、米国の金融機関の80%はモバイルRDCの導入を計画または検討していることが明らかになりました。セレントは、モバイルRDCを導入している 金融機関の数は今後1年間に倍増し、銀行と信用組合を合わせて1,000近くに達すると予想しています。金融機関の間では個人向けプラットフォームとして モバイルを選択する傾向が強まっていることから、スキャナーや多機能デバイスを利用するデスクトップRDCは中小企業が主な提供先となるでしょう。
「モ バイルRDCの幅広い普及は既定の事実となっていますが、必ずしも簡単に実現するとは限りません。多くの金融機関にとって、法令遵守、リスク管理と消費 ニーズの拡大の3つのバランスを保つことは難しい課題となるでしょう」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したボブ・メーラは述べています。
ま た、個人および中小企業向けモバイルRDCの導入成功が、もう1つの課題を生む要因になる可能性があります。預金のセルフサービス化は、銀行業界に広く浸 透しているクロスセリングのカルチャーとは相容れないものです。支店来客数の減少は売り上げ減につながりかねない一方で、来店顧客向けの預金サービスには 多大なコストがかかるため、米銀の多くがその負担に耐えられなくなっています。モバイルRDCは、いまや誰もが不可避と考える支店の変革を促す契機となる 可能性はあるものの、銀行側の準備体制が整っていないのが現状です。
セルフサービス・チャネルを利用する戦略は既に定着していますが、当 座預金の分野は例外といえるでしょう。個人向けRDCを導入することで、金融機関は支店での取引関連手続きを減らすことができるようになります。レポート では、導入に向けた動機と障害について考察するほか、RDCをめぐるリスクとコンプライアンス上の選択肢、個人向けRDCソリューションプロバイダーの市 場概要、マス・マーケット/ウェルスマネジメント/中小企業といった市場セグメントにおけるモバイルRDCのビジネスチャンスについて説明しています。ま た、7月にソリューションプロバイダー15社を対象に行った調査の結果と9月に実施したオンライン調査に寄せられた金融機関225社からの回答内容をまと めています。
本レポートは56p、52図と8表で構成されています。