リテール向け オンラインバンキング・ベンダー: 狙いは後発組の取り込み
Abstract
オンラインバンキングを利用する顧客数は全世帯の40%に達し、当初の目標を達成しましたが、今後は新規顧客の獲得が課題になります。
銀行は、オンラインバンキングの新規顧客獲得と既存顧客の維持という難題に直面しています。過去5年間、オンラインバンキングを利用する世帯数は一貫して前年比2ケタ増(年率平均15%増)を記録してきましたが、セレントは今後数年間の世帯数の平均伸び率が1ケタ台に落ち込むと予測しています。銀行にとって、この成長鈍化の中で、現在まだオンラインサービスを利用していない残り半分の世帯を取り込むことは、ますます難しい課題となるでしょう。セレントの最新レポート「リテール向けオンラインバンキング・ベンダー:狙いは後発組の取り込み」は、こうした課題に取り組む銀行をサポートする最新テクノロジーを取り上げています。
銀行はベンダーに対して、オンラインバンキング顧客の開拓と維持を支援するアプリケーションの提供を要求してきました。具体的には、洗練されたインターフェース・テクノロジー、最新のセキュリティ機能、高度なカスタマイズ・オプション、決済と個人の財務管理を完全に統合する機能など、「後進組の取り込み」を可能にするあらゆる機能やテクノロジーを含みます。ベンダーはこうした要求に応えるため、ベンダー間での統合や、ビルペイメント、オンラインバンキング、勘定系システムなど、これまで提供されてきた機能をすべて統合したシステムを提供するといった対応を取ってきました。
本レポートではベンダー9社の製品を取り上げ、セレントのABCDベンダービューに基づいて分析しています。これは、「テクノロジーの先進性」、「エンドユーザー機能の幅」、「顧客基盤」、「顧客サービスの充実度」の4つのカテゴリーについて、ベンダーを評価する指標です。対象となったベンダーは、Corillian、Digital Insight、Fidelity Information Services、Financial Fusion、Fiserv、Metavante、Online Resources、Open Solutions、S1の9社です。
4つのカテゴリー全てにおいて圧倒的に高い評価を得たのはCorillianで、これにDigital Insightが続いています。セレントの2005年の調査では評価が低かったMetavanteはリテール向けプラットフォームを大幅に改善した結果、今回は飛躍的に評価を上げて総合ランキングで3位にランクされています。Online Resources、FiservおよびS1 Personal Bankingも比較的高く評価されています。
レポートの共同執筆者でシニアアナリストのダン・シャットは次のように述べています。「先行組が参入するインターネットバンキング市場の初期段階は既に終わり、来たるべき次期参入のうねりの中でキーとなるのは、本格的なシステム統合、操作性の向上、セキュリティでしょう。オンラインバンキングを手がけるベンダーや銀行の多くはこうしたトレンドを認識しており、次期参入組の注目を集める製品の開発を進めています。」
「今回の調査結果で予想外だったのは、勘定系システムベンダーの評価ランキングが上昇し、ベストソリューションを提供するのは専門ベンダーであるという固定観念が打ち破られたことです。今回トップ3にランクされたベンダーのうち、MetavanteとFiserv ITIの2社が勘定系システムベンダーです」と、レポートの共同執筆者でシニアアナリストのボブ・ミーラは指摘しています。