日本の資本市場に関するユーザーガイド
2012/05/30
Abstract
日本の株式市場では高頻度取引(HFT)が今や売買高の20%近くを占めており、世界有数の先端市場の証ともいえる高度な注文執行レベルを達成するのは時間の問題といえるでしょう。
セレントがNYSE Technologiesのサポートにより発行する最新レポート「日本の資本市場に関するユーザーガイド」は、主に海外の金融機関向けに、日本の現物およびデリバティブ市場の現状と先進的な取引インフラの発展状況の概要、海外および国内の市場参加者に適用される規制の枠組みを解説するものです。
日本の市場は、成熟した欧米市場と同様の市場構造の基盤を既に備えています。日本の取引所ではここ数年、東京証券取引所の「arrowhead(アローヘッド)」をはじめとする注文応答時間を短縮化したマッチングシステムの導入が進んでおり、SBIジャパンネクストやチャイエックス・ジャパンのように高速の取引環境を提供する取引業者の設立も相次いでいます。日本では2008年の金融商品取引法の施行を機にリモート取引参加制度が導入され、海外の業者が直接日本市場で取引できるようになりました。しかし、現時点でこの制度を通じて市場に参加している業者はごく少数にとどまっています。
「規制環境は保守的になりがちであるとはいえ、多くの点からみて日本はアジアで最も先進的な資本市場であるといえるでしょう。日本の資本市場は、高速対応のシステム、流動性の細分化、さらには最新の取引戦略に対応可能な基盤を提供する高度な注文執行システムなど、成熟した先端市場構造へと進化を続けています」と、アジアのシニアバイスプレジデントでレポートの共同執筆者であるニール・カタコフは述べています。