新規契約プロセスのデジタル化:レベルクリア
Abstract
生命保険会社の新規契約処理やコスト構造は、リスク引受けの能力を損なわずに改善できます。新規契約や引受けプロセスを自動化できるシステムは存在するのに、保険会社の多くはそれらを利用しておらず、依然として紙による手作業の引受けが圧倒的に多いのが現状です。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 新規契約や引受けに関するテクノロジーのうち、最も保険会社に利用されていたのは? |
2 |
新規契約や引受けのテクノロジーを導入済みの保険会社と未導入の保険会社を比較すると、重要指標にどのような違いがあるか? |
3 | 新規契約や引受けの指標を改善できる分野はどこか? |
本レポートは2016年新規契約ベンチマーキングサーベイの調査結果報告の第2弾です。第1弾のレポートでは、調査に参加した保険会社が販売する商品の平均額面価格に基づいてデータを比較しました。本レポートも同じベンチマークデータを提示しますが、テクノロジーに焦点を当てています。新規契約プロセスについて、全体平均と、テクノロジーの利用度が高い/低い企業の平均を比較します。また、セレントの2007年のレポート「生命保険業務のレベルアップ:新規契約業務の効率化を図るツールと方策」とも比較します。
電子申請、イメージング、ワークフロー、オーダー自動化、引受け証拠の受領、電子署名について、使用していると答えた保険会社が今回の調査では半数以上になりました。
新規契約プロセス全体でテクノロジーを導入している保険会社では、NIGO、サイクルタイム、ユニットコストで低い数値が出ています。
テクノロジーを全面的に導入している保険会社の場合、申請1件当たりの予算は237ドル、発行する保険証書1件当たりの予算は329ドルです。これに対し、テクノロジーの全面導入がなされていない保険会社では、それぞれ314ドルと53ドルでした。
電子申請を導入済みの保険会社のNIGOの荷重平均は5%です。これに対し、従来の紙の申請では14倍の69%です。テクノロジーを全面的に導入している保険会社の平均サイクルタイムは17日。一方、テクノロジーの導入レベルがそれよりも低い、またはまったく導入していない企業の平均サイクルタイムは39日です。
自動化によってサイクルタイムが短縮し、正確さが増し、コストが減少します。また、その会社が掲げる戦略に従って、スタッフをより価値の高い作業に割り当てたり、人数を減らしたりすることができます。
「新規契約の自動化の価値を最大限に生かしている保険会社はわずかです。しかし本レポートの調査結果は、新規契約プロセス全体にテクノロジーを導入することで、時間短縮やコスト削減が実現する可能性を示しています。」
「自社のコストを理解している保険会社ならば、業界全体との比較データを入手することで市場における自社の立ち位置を知ることができます。会社ごとに、顧客基盤、ビジネスライン、販売チャネルなどユニットコストに大きく影響する部分に違いがあるため、正確に対比することは難しいかもしれません。それでもやはり、大局的な比較には意味があります」と保険プラクティスのアナリスト、カレン・モンクスは述べています。