ドッド・フランク法の域外適用:CFTC新規制への対応【全訳版】
Abstract
(このレポートは2012年11月7日に"Extraterritoriality of the Dodd-Frank Act: Dealing with New CFTC Regulations"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2013年3月22日に発行しました。)
世界の主要国の多くで、デリバティブ商品のリスク管理の強化や透明性の向上を求める声に応じて規制当局が新たな法案を策定しています。米国の場合、商品先物取引委員会(CFTC)と証券取引委員会(SEC)が、ドッド・フランク法に基づくデリバティブ規制の施行を開始しました。新規制は、米国以外の金融機関にも重要な影響を及ぼすとみられます。
セレントの最新レポート「ドッド・フランク法の域外適用:CFTC新規制への対応」は、ドッド・フランク法に関連した規則の制定が米国以外の金融機関に及ぼす影響について検証しています。考慮すべき要因として、取引主体の拠点、取引相手の国籍、適用可能な規制要件などが挙げられます。海外の金融機関は、傘下のどの部門が米国居住者とどの国の司法管轄下でスワップ取引を行っているのかに加え、米国と重複する管轄権についても考慮する必要があります。また、発生する可能性のある取引や将来の業務への影響にも注意しなければなりません。規制関連コストを抑えるため、スワップ取引を制限する金融機関が出てくる可能性があるからです。
米国の取引主体とスワップ取引を行っている金融機関は、ドッド・フランク法が義務づける、取引執行、清算およびリアルタイム報告に準拠する必要があります。外資系銀行やその他の取引主体は、米国の取引主体との取引手続きについて2012年末までに準拠しなければなりません。スワップデータの報告や会計記録に関しては、CFTCが海外にある取引レポジトリにアクセスできる場合に限り、代替的な準拠を認められます。
「金融危機を受け、店頭デリバティブをめぐる規制はより厳格化しています。外資系銀行やその他のスワップ取引主体が新規制に準拠する際、米国に拠点を置く取引相手全ての身元確認作業は一番の問題となるでしょう」とセレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。
レポートでは最初に、ドッド・フランク法に定められている米規制当局の域外適用の概要を示しています。次に、金融機関が新規制に準拠する際にとるべき様々な方法、米国の規制がクロスボーダー取引に及ぼす影響について解説しています。
本レポートは22p、5図と3表で構成されています。