欧州ウェルスマネジメントシステム市場の動向
Abstract
欧州のウェルスマネジメント市場は、なお魅力にあふれています。この分野に参入しているベンダーが顧客の維持と関係強化に成功するかどうかは、ビジネスモデルの変革、顧客セグメント化の戦略、サービス提案能力の高さが決め手となるでしょう。事業環境は厳しいものの、欧州のウェルスマネジャーはIT予算の規模を維持しており、一部は予算をやや拡大しています。
「欧州ウェルスマネジメントシステム市場の動向」は欧州市場に関するレポートシリーズの第1弾で、欧州のウェルスマネジャーがM&Aに伴うシステムの再編・統合プロジェクトに引き続き取り組んでいる状況を明らかにしています。ウェルスマネジャーは、より多くを求める顧客、新たなサービスチャネル、若年層への富の移管、ITに精通する世代への対応といった課題にも直面しています。
「ウェルスマネジャーはフロントおよびバックオフィスのシステム要件に対応し、より迅速に運用アドバイスを提供できるよう努めています。現在これらの金融機関は自社開発または第三者製システムを多数抱えており、社内・アドバイザー・最終顧客にシームレスな経験を提供するためには、システムの統合が必要になっています。業務の効率化やシームレス化が求められるなか、テクノロジーインフラに対するニーズはますます高まっており、特にフロント/ミドル/バックオフィスの統合に対する関心は強くなっています」と、セレント証券グループのリサーチディレクターでレポートの共同執筆者であるイザベラ・フォンセカは述べています。
「欧州ではウェルスマネジメント市場に参入しているベンダーの数が多く、市場の成熟化が進んでいます。ベンダーは差別化を図るため、機能面のサポートだけでなく、地域ごとのカバレッジや当該地域の法令に関する専門知識の蓄積にも力を入れています。 ウェルスマネジャーにとってベンダーの選択肢は豊富ですが、自社の長期的なニーズに適切に対応できるベンダーを選定しなければなりません。例えば、フロントオフィスシステムのベンダーを探しているのか、フロントからバックオフィスに至る統合システムを手がけるベンダーを探しているのか、さらに、新規市場に参入する計画があるのか、あるいは既存市場でのノウハウを深めようとしているのかによっても変わってきます。こうした点を考慮することで、プロバイダーの適切な絞り込みが可能になります」と、アナリストでレポートの共同執筆者であるアレキサンダー・カマルゴは指摘しています。
レポートではまず、欧州市場におけるシステム導入の促進要因を挙げ、市場およびテクノロジーのトレンドを明らかにしています。また、投資家が選好する商品や販売チャネルについて説明しています。さらに、セレントが今後発行するレポートで取り上げるベンダーのシステムについて、簡単に紹介しています。最後に、対象地域や機能の幅に基づいて各ベンダーの相対的ポジションを明らかにしています。
今後発行する3つのレポートでは、フロントオフィスシステムのベンダー、フロントからバックオフィスまでの統合システムを手がけるベンダー、プライベートバンキングの分野に積極的に進出している勘定系システムベンダーについて取り上げる予定です。