マルチチャネル時代のブランチバンキング:「未来の支店像」とは?
Abstract
セレントが金融機関を対象に実施した調査によると、支店というチャネルにおいては売り上げやサービスの向上が最優先課題であるとする回答が過半数を占めているにもかかわらず、そうした目標の実現に向けたシステム投資を行っている金融機関はごく少数にとどまっています。
セレントの最新レポート「マルチチャネル時代のブランチバンキング」は、北米銀行の支店におけるシステムインフラの現状と進化の見通しについて論じています。大多数の銀行では支店のシステム環境は必要最小限にとどまり、ほとんど自動化が進んでいないのが現状で、持続不可能な水準にあるといえるでしょう。しかもこれには、試験的または概念実証のためのシステム導入は含まれていません。
調査対象となった銀行のうちオペレーショナルCRMシステムを導入しているのは28%と全体の3分の1にも満たず、アナリティカルCRMを導入しているのは23%とさらに少なくなっています。 口座開設も概ねマニュアル手続きのままで、ペーパーレスの自動システムを採用している銀行は29%にとどまっています。同様に、借入手続きも書類のやり取りに依存するマニュアル作業が主流で、自動システムを採用しているのは5行に1行にすぎません。
小規模の銀行は、より先進的な勘定系システムを導入しているものの、支店網の自動化では後れを取っています。中堅および大手銀行は複数のシステムを運用しているため、より先進的なブランチ・オートメーション・システムに投資する前にまずプラットフォームを統合する必要があります。最大手の銀行は、取引の自動システムに投資する傾向が強くなっています。また、銀行と信用組合を比べると、より顕著な違いがみられます。信用組合は、ブランチ・オートメーション・システムの導入という面で銀行を大きくリードしています。
出典:セレントによる2010年7月の金融機関調査(対象金融機関は138社)
「金融機関の多くは、コスト削減と支店の売り上げおよびサービスの効率化という2つの大きな圧力にさらされています。これらを実現するためのシステム投資に関して、信用組合は銀行のはるか先を行っていると思われます。銀行が遅れを取り戻すためにやるべきことは多いといえるでしょう」とセレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したボブ・ミーラは述べています。
本レポートは、事業環境が厳しさを増している北米のリテールバンキング業界の概要を明らかにした上で、マルチチャネルおよび個別の支店が抱える優先課題について分析しています。また、支店向けシステムと物理的環境の現状についても分析しています。さらに、調査結果で明らかになったテクノロジーの方向性や導入の意図に基づき、支店向けシステムの中期的な環境についての見通しを示しています。最後に、今後5年間の北米におけるブランチバンキングの進化の可能性を予測しています。
本レポートは52図と2表を含む66ページで構成されています。