2023/03/13
Abstract
かつて、債券インフラは自動化の波に飲み込まれたが、今度は、テクノロジーの波が起こり、クリアリング、取引前の情報伝達、価格の公表、取引執行、取引後のワークフローにおけるオペレーションの再構築が進んでいる。当然のことながら、金融機関の成功は、これらの変化に対応し、変化に乗る準備が十分整っているかどうかにかかっている。
繰り返しになるが、債券はいくつかの要因を背景とする変化の波の中にある。クラウド導入時代の到来に便乗した新たなSaaSプロバイダーの出現、従来はミドルオフィスやバックオフィスの一部であったワークフローへの関与を強めることによる継続的な価値の創出、イノベーション、さらには新型コロナの感染拡大に伴い加速した効率化と管理の向上に対する需要の拡大に加え、規制の変更も予想されることから、ワークフローを抜本的に見直しする動きが広がっている。またしても繰り返しになるが、こうした変化に乗り、変化に向けて地位を確立し、さらには変化の方向性に影響を与えることが金融機関の成功を左右する。
本レポートでは、こうした次の変化の波を推進する要因について説明し、さらに変化に乗る好機を特定することで、この進化を図で示している。イノベーションのうねりが新たな収益拡大機会の源泉を生み出すこともあれば、イノベーションによって金融機関の資本効率やオペレーション効率が向上し、オペレーティングコストの削減につながることもある。いずれにしても、金融機関は自社のテクノロジーに投資して変化に向けて地位を確立すべきである。
注目すべき分野としては、フローレート・トレーディング、担保管理と証券ファイナンス、ネットワークと分散型台帳の利用における進歩、より協調的な世界への移行に伴う技術的な影響が挙げられる。