中国保険市場におけるテレマティクスの可能性【全訳版】
2013/09/25
ウェンリ・ユアン
Abstract
(このレポートは2013年9月25日に"Telematics Opportunities in China’s Insurance Market" というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2014年5月7日に発行しました。)
テレマティクスを使った保険商品はまだ中国には存在しませんが、条件がそろえば今後3~5年で中国に導入される可能性があります。
セレントの最新レポート「中国保険市場におけるテレマティクスの可能性」では、世界での保険商品へのテレマティクスの活用例、テレマティクス関連保険商品の概要とそれぞれの異なるビジネスモデルについて解説し、中国における自動車保険市場やテレマティクスの現在の状況からして、テレマティクスを活用する商品の拡大には何が必要か、この市場に参入予定の保険会社に提言しています。
中国における自動車の保有台数は持続的に伸びており、2012年末には1億2,000万台に達しています。自動車保険の保険料収入は、中国における損害保険の保険料収入全体の70%以上を占めています。
中国におけるテレマティクス保険の拡大に必要な条件として、以下のような点が挙げられます。
- 規制環境。中国保険監督管理委員会は、自動車保険の条件と料率を徐々に自由化しつつあります。
- 保険会社からのニーズ。競争環境の激化と営業損失により、有効な市場セグメントや質の高い顧客の探求、保険金支払リスクの管理に対する保険会社のニーズが高まっています。
- テレマティクスのさらなる発展。現在、車両データを収集する技術力を持ち、救助支援サービス、リモート診断、メンテナンス・リマインダー、燃料管理、ワンキー・ナビゲーション、その他のサービスを車両所有者に提供できるテレマティクスサービスプロバイダが登場していますが、明白なセールスポイントと、適切な利益モデルを持たないため、個人によるテレマティクスの利用は未だ限定的です。
「保険への活用がテレマティクスの主な用途となる可能性があります。保険がテレマティクスの発展を促進し、また、テレマティクスが一定の水準まで発展したときには、その発展がテレマティクス 保険商品の発売を後押しすることになるでしょう。最適なビジネスモデルを構築できれば、テレマティクスサービスプロバイダと保険会社は、お互いに利益を実現しあうことができるでしょう」と、セレントのアジア金融サービスグループのシニアアナリストで本レポートを執筆した ウェンリ・ユアンは述べています。
本レポートは中国語版 もあります。