銀行業界のITサービスベンダー: 2021年リテールバンキング編
Abstract
ITサービス市場は、パンデミックを受けたプロバイダーの業績の回復により、成長を続けている。一方、テクノロジーインフラのコモディティ化により、サードパーティへのアウトソーシングの需要が高まり続けている。更に、クラウド、仮想化、アズ・ア・サービス、AI(人工知能)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、ブロックチェーンなどの新しいテクノロジーとデリバリーモデルは、バンキング業務に大きな変革をもたらしている。金融機関はデジタルによってビジネスの転換を図っている。
本レポートは、銀行業界のITサービスベンダーに関するセレントの最新レポートであり、世界のベンダー14社を取り上げている。ITサービス市場はダイナミックであり、この市場で活躍するベンダーは、銀行が日々の活動を強化するために関連技術の価値を獲得することを支援している。現在は、複数のトレンドや要因によって、クラウド、AI、サイバー、インテリジェントオートメーション、ビジネスソリューションなどの新しいテクノロジーへのニーズが生み出されている。以下の図は、銀行が活用できるITサービスベンダーのサービスをまとめたものである。
こうしたサービスは、かつては単純なコスト削減の手段であったが、現在はサポートと実行を組み合わせた複数年にわたる複雑な戦略的契約へと変化している。ベンダーはより多くの製品・サービスの提供を求められており、多くのベンダーにとってそれは、独自のツールセット、ホワイトラベルまたはカスタムメイドのプラットフォームサービス、あるいは新しいプラットフォーム(例えば、クラウドネイティブコア)に関する深い専門知識の提供へ移行することを意味する。
本レポートでは、世界中の銀行業界で活動しているITサービス企業の能力について検証している。これらの企業を対象に、各社が提供しているITサービス、各種ITサービスの成熟度、および現在サービスを利用している顧客の割合について聞き取り調査を行った。本レポートは、現在の能力と戦略的方向性の概要を示しているが、いつもながら重要なのは企業を取り巻く状況であり、市場は今も進化し続けている。