懸念要因の克服:銀行勘定系システムのマイグレーション
Abstract
(このレポートは2006年4月4日にフランス語で発表されましたが、英語版を2007年1月24日に発行しました。)
多くのトップティア銀行が、1970~80年代に構築された既存の勘定系システムについて、リプレースという選択はとりませんでした。しかし、敢えて実行に踏み切った勇敢な銀行があります。
セレントの最新レポート「懸念要因の克服:銀行勘定系システムのマイグレーション」は、勘定系システムを貯蓄金融機関向けシステムから商業銀行向けシステムに移行したウェブスター銀行の事例を取り上げています。同行はシステムの移行に伴い、先進的なテラーソリューションやプラットフォームソリューションの導入やコアアーキテクチャの統合を進めるなどして、商業銀行業務の拡大を支えてきました。
ウェブスター銀行のCIOであるZ.フレデリック氏は勘定系システムをアウトソースする選択をしましたが、預かり資産200億米ドルクラス(約2兆3,000億円)の銀行がこうした決断を下すのは珍しいと言えるでしょう。「私を知る人たちは驚いていましたが、私としては、この移行がIT部門のためだけではなく銀行全体のために行うということを思い返す必要がありました」とフレデリック氏は語っています。結局のところ、メインフレーム環境をユニシスからIBMに移行するためのコストが膨み、自行内に勘定系システムを維持することを正当化できなくなりました。
「ウェブスター銀行は、通常なら優に5年から7年は費やす作業を1年半でなし遂げました」と、セレント銀行プラクティスのシニアアナリストでこのレポートを執筆したバート・ナーターは述べています。「これほどの規模の勘定系システムの移行は、北米では過去10年以上例がありません。」
また、レポートでは、様々な資産規模や地域にわたる諸銀行における勘定系システムのアウトソーシングのトレンドについても検証しました。その結果、アウトソーシング指向には大きな地域差が認められました。アウトソーシングがかなり浸透してきていることは誰もが認めるところですが、一部の地域ではその普及の度合がさらに進んでいるのです。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2006年3月31日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。