ドイツ保険業界:市場とIT動向の概要
Abstract
ドイツの保険業界は様々な課題に直面しています。これらの課題は、業界の成長ペースの減速やIT投資の伸び悩みにつながるでしょう。
ドイツ保険市場の成長は、新規制の導入や競争上の要因によって妨げられるだろうと、セレントの最新レポート「ドイツ保険業界:市場とIT 動向の概要」では述べています。レポートでは、ドイツ保険市場の主要ビジネストレンドとIT投資に及ぼす影響について検証しています。
ドイツ保険市場は近年伸び悩みの傾向にあり、2001年から2004年の年平均成長率も4%と低迷しています。ドイツ経済が回復に転じつつあるという少数派の楽観論も見られますが、EUのソルベンシーⅡ(支払能力規制)、生命保険商品を巡る税制改正、損害保険商品の見直し、外資系企業との競争激化といった目まぐるしい変化を考慮すれば、保険市場の成長はさらに鈍化する見通しです。セレントは、ドイツ保険市場全体の規模が2億ユーロ(約286億円)の大台を突破するのは2010年になると予測しています。
同国の保険会社はまた、銀行という新たな競合相手の出現にも直面しています。2006年初めの保険商品に対する税優遇措置の廃止は、養老保険商品に大きな影響を与えるでしょう。新税制の下、同ラインの商品は銀行預金との競争にさらされることになり、苦戦も多くなりそうです。保険会社が市場シェアの縮小を食い止めるためには、新商品の開発が不可欠となるでしょう。
こうした課題を抱える保険業界でのIT投資はほぼ横ばいの状態が続くでしょう。セレントの予測では、保険業界のIT投資総額の動きは、2005年の推計45億ユーロ(約6,400億円)から2010年の62億ユーロ(約8,900億円)までの増加にとどまる見通しです。「頭打ちのIT予算と、大規模で柔軟性に欠ける既存のITインフラを抱えた保険各社は、ビジネスニーズの変化への対応に頭を悩ませています。各社は激化する競争により柔軟に対応するためのテクノロジーの活用方法を探さなくてはなりません」と、セレントのシニアアナリストで本レポートを執筆したキャサリン・シュミットは語っています。
本レポートは9図と9表を含む全27ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2006年3月31日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。