欧州のウェルスマネジメント市場:2012年の戦略とテクノロジー
Abstract
欧州の金融機関では投資銀行部門やその他の業務部門の収益性が低下傾向にあり、ウェルスマネジメントの強化が優先課題になっています。テクノロジーベンダーはこれをビジネスチャンスと捉え、様々なソリューションを積極的に展開しています。
セレントの最新レポート「欧州のウェルスマネジメント市場:2012年の戦略とテクノロジー」は同市場の主な動き、テクノロジー革新、さらには現在入手可能なアドバイザー向けソリューションなどについて論じています。
欧州のウェルスマネジメント市場ではいくつかの変化が起きつつあります。ここ4~5年間は投資家層が拡大を続ける一方、そのニーズはかつてないほど複雑化しており、銀行はそれらに対応すべくビジネスモデルの再構築とテクノロジーの開発に取り組んできました。金融危機によってこの傾向はさらに強まり、顧客はよりきめ細かいコミュニケーションとリスク管理を求めています。こうした課題に加え、欧州で公的債務危機が発生し、その影響で複数の欧州銀行の信用格付け引き下げられたことで、資産の保護をめぐる投資家の懸念が再燃しています。
「こうした問題を受け、消費者の銀行や運用アドバイザーに対する信頼が失われつつあることが明らかになっています。顧客は今まで以上に、金融のプロよりも自分自身や仲間を信じるスタンスを強めています。ウェルスマネジャーは自らの商品選択の有効性を証明し、顧客が引き続き自社に資産を預けてくれるよう説得する必要があります。金融機関側は、こうしたニーズに応えてシステムを強化したり、顧客を戦略的にセグメント化してサービスの個別化を進めたりしてきました」とセレントのアナリストでレポートを共同執筆したアレクサンダー・カマルゴは述べています。
「ウェルスマネジャーがサービス内容を点検する中で、顧客のセグメント化および管理方法、販売チャネル、投資商品の選択は全て見直されつつあります。テクノロジーベンダーはこれをチャンスと捉え、欧州市場を重視する姿勢を強めています。ベンダー市場の動きは活発化しており、今年はこの傾向が続くでしょう」と、リサーチディレクターで共同執筆者のイザベラ・フォンセカは述べています。
本レポートではまず、ウェルスマネジメントプロジェクトの原動力と各ウェルスマネジャーが進めている顧客セグメント、顧客管理、販売チャネルおよびシステムの改革について簡単に紹介しています。次に市場の概要を説明し、テクノロジーのトレンド、市場セグメント、投資家向け商品の変化を分析し、また、ウェルスマネジャーのシステムニーズやベンダーによる商品強化についても詳しく取り上げています。最後に、モバイルやソーシャルメディアといった新しいテクノロジーに対するウェルスマネジャーおよび投資家のニーズについて概要を述べています。
レポートにはベンダーのプレビューとして、ウェルスマネジメント市場に参入している複数のソリューションベンダーを取り上げ、各ソリューションを簡単に紹介しています。ここで取り上げたベンダーはAvaloq AG、BI-SAM Technologies、Bravura Solutions、BSB、Distribution Technology、Finantix、Interactive Data Corporation、ObjectWay Financial Software、OpenFinance、Oracle Financial Services、Sage SA、SIX Telekurs、SunGard、TechRules、Temenos Group、Thomson ReutersおよびVermilionの17社です。12年の欧州のウェルスマネジメント市場がどのように発展していくかを予測し締めくくっています。