パーソナル・フィナンシャル・マネジメント:悪魔は細部に宿る
Abstract
(このレポートは2011年8月26日に"Personal Financial Management: The Devil Is in the Details"というタイトルで英文で発表しましたが、日本語版を2012年3月21日に発行しました。)
銀行はパーソナル・フィナンシャル・マネジメント(PFM)のトレンドに乗り遅れており、どのようにオンラインバンキングに結び付けてよいかさえ模索中といえます。多くの銀行がソリューションを投入していますが、消費者にそのままオファーできるようなソリューションではありません。こうした状況に変化の兆しもみられますが、実際に消費者の間に普及するにはかなり時間がかかるとみられます。
金融機関は、消費者の財務管理ニーズに答えなければなりません。今こそPFMサービスを投入する好機ですが、金融機関側はいまだ役者が揃っていない状況です。PFMの普及がほとんど進んでいない背景には、テクノロジー(口座統合や自動分類化の問題)、ユーザー経験、消費者行動といった障害が存在します。セレントの最新レポート「パーソナル・フィナンシャル・マネジメント:悪魔は細部に宿る」は、細部にこそ課題が潜んでいるこうした現状を明らかにしています。
ただ、PFMの普及が広がりつつあるのは明るい材料といえるでしょう。本レポートでは、金融機関におけるPFMの進捗状況を検証・分析しています。はじめにPFMの重要性を解説し、普及の障害となる複数の要因を挙げています。次にPFMの利用拡大に必要な条件とソリューションの進化の見通しを示しています。最後に、タブレット端末などの新型機器が果たす役割について考察し、人気の高いデバイスに対応するための枠組みを紹介しています。
「今後、PFMはオンラインバンキングの要になるでしょう。しかし、その普及を加速させるために金融機関やソフトウェアベンダーがやるべきことは山積しています。多くの銀行では、サービスを1つずつ付け加えることでオンラインバンキングを発展させてきました。そのため全体的には複雑な寄せ集めと化し、銀行側の管理が難しいばかりか、顧客にとっても使い勝手が悪くなっています」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したジェイコブ・イエーガーは述べています。