リテールデジタルバンキングのリーダーにとっての新時代: 現在の課題と現実的な3つのアプローチ
2023/04/18
Abstract
今日のリテールバンキングには、デジタルチャネルのリーダーシップとテクノロジー戦略を複雑にしている課題が3つある。デジタルリーダーは、組織の連携強化、顧客と銀行に向けたより多くの価値の測定、急速に変化するコンシューマーバンキングサービスおよびビジネスバンキングサービス市場での競争力強化に向け、具体的で実用的なアプローチをとることで、それらの課題を克服できる。
今回の新レポートでは、それら3つの課題について調査したほか、デジタルリーダーがそれらに対処し、組織が乗り越えられるようサポートすべく、すぐにでも始められるアプローチを紹介する。
- デジタルエンゲージメントは多くの新たな分野へと拡大している。デジタルカスタマーエンゲージメントといえば、かつてはオンラインバンキングとモバイルバンキングのみを指していたが、今や銀行がコンテンツ、サービス、取引、データを提供する複数の画面や情報スペースも含まれるようになった。顧客はすべてにおいてデジタル化を望んでおり、金融機関は各業務でデジタルファーストソリューションを講じることができるようになり、顧客体験を多様化させている。
- 顧客関係の細分化が進んでいる。銀行と顧客とのこれまでの関係が脅かされている。フィンテックは多種多様な顧客層の特殊なニーズに対応している。銀行やノンバンクは預金や消費者の主要取引先としての地位をめぐって競い合っており、一方、消費者が銀行を選ぶ際の重要ポイントは素晴らしいデジタル体験である。
- デジタルリーダーの役割は進化している。リテールバンク内のデジタルリーダーは、さまざまなレベルの責任を負っている。デジタル組織は組織の規模や戦略によって全く違うものになりうる。しかもこれまで以上に管理すべき顧客のデジタル体験の分野が増えており、提携や連携はより複雑になっている。
さらに高金利が長期化し、より大規模な金融テクノロジー業界が成長懸念や市場からの効率向上への要求に対応する中、デジタルリーダーは新たな懸念に直面している。以下はその一部である。
- 効率性とコスト削減により重点を置くという銀行経営陣からの要求
- 預金コスト削減と預金維持のさらなる重視
- フィンテックパートナーの弱体化または統合