顧客のライフサイクル管理と企業全体のデータ戦略の再構築
Abstract
金融機関にとって、本人確認 (KYC) およびオンボーディングは非常に手間がかかり、労働集約的であることから、特に非効率的な分野となっている。多くの金融機関と同様に、みずほ銀行は伝統的にレガシーのKYCテクノロジーに依存していた。しかし、準備が複雑なことに加え、絶えず変化する規制環境の中で急速に拡大している顧客基盤を支える必要性から、同行はKYC業務を見直し、オンボーディングと顧客データ管理のアプローチを刷新した。
2019年、Mizuho Americasは顧客オンボーディングプロセスの最新化とデジタル化を進め、サイロ化していた業務を単一のプラットフォーム上で合理化するために、複数年にわたるプロジェクトに着手した。その際、ベンダーのFenergoが提供するKYC/ 顧客オンボーディング自動化ソリューションを導入した。みずほ銀行は、このソリューションをまずMizuho Americasの銀行業務に導入し、現在は証券業務への拡大を進めている (2021年7月に本稼働予定)。更に欧州、続いてアジアでも導入する計画である。
同行はこのプロジェクトを通じて、顧客オンボーディングプロセスの最新化とデジタル化を進め、レガシーシステムを使用していた業務の合理化に取り組んでいる。このソリューションは、データとドキュメントの一元的なリポジトリとして機能するため、同行は法規制の遵守を維持しながら、顧客のライフサイクルジャーニーの合理化、オンボーディング時間の短縮、顧客デュー・デリジェンスの迅速化を実現し、顧客サービスを向上させることができる。
オンボーディングプロセスのデジタル化と業務効率の改善に加え、同行は法人顧客オンボーディングと情報・文書管理のために、グループ全体の単一プラットフォームの実現に向けて取り組んでいる。KYCオンボーディングの方針と手順を合理化し、当初の業務ラインでの導入を完了することで、大規模な組織全体のトランスフォーメーション・プロジェクトの初期段階は完了した。これは、他の金融機関のモデルとなりうる取り組みである。