スペインにおけるイノベーション:金融テクノロジーのスタートアップ企業
Abstract
金融機関が提供する商品やサービスが急増し、破壊的な力を持つイノベーションが生まれる可能性が飛躍的に高まっています。従来、金融機関は最新テクノロジーの導入を「様子見」する傾向がありましたが、そうした姿勢にも変化が見え始めています。
セレントの最新レポート「スペインにおけるイノベーション:金融テクノロジーのスタートアップ企業」はスペインに拠点を置く、もしくはスペインで設立されたスタートアップ企業が手がけるイノベーションをいくつか紹介しています。その中には同国だけではなく、他の国でも応用可能なものも含まれています。
セレントのアナリストはFinovateやInnotribeといったイベントに頻繁に参加し、そこで紹介されたスタートアップ企業に関するレポートを発行しています。 こうしたイベントに参加する金融機関の数は年々増えています。イノベーションに対する関心が広がっている証といえるでしょう。
新規参入プレーヤーが攻勢を強めて伝統的な金融機関を脅かすなか、金融業界はイノベーションの重要性を認識するようになっており、銀行業界では、金融サービスに進出したスタートアップ企業に関する話題がよく聞かれます。PayPalやSquareといった企業は破壊的な力を持つイノベーションの先駆者であり、BBVAによるSimpleの買収はこうした企業に対する金融機関のスタンスの変化を示しています。
伝統的な金融サービスがそのままの形では存在できなくなりつつある現象は世界共通です。伝統的な金融機関が進化するニーズに対応しきれていない部分を、金融向けテクノロジーの新興企業が埋めていっているのです。本レポートでは、Finnovistaと共同で、スペイン市場に進出している革新的かつ破壊的な力を持つスタートアップ企業を紹介、世界の金融業界で進行しつつあるイノベーションの状況を明らかにします。Finnovistaは金融サービスのプロ、金融向けシステムを手がける起業家、ベンチャーキャピタリストから構成されるネットワークで、ネットワーク構築、イノベーションに関するオープンアドバイス、新興企業のコンテストなどを通じて金融業界の連携を促すことを目指しています。
「銀行は自らのことなかれ主義に疑問を感じ、顧客中心主義に基づく新たな時代の競争を勝ち抜くためには、進化するニーズに沿った戦略の策定が欠かせないことにようやく気付き始めています。時間の経過とともに、銀行業界が抱える課題は、自分たちが具現化してきた従来型企業ではなく、シリコンバレーの新興企業が直面する課題にむしろ近いものになりつつあります」と、セレント銀行グループのアナリストでレポートを執筆したスティーヴン・グリーアは述べています。