2011年金融業界の現状レポート: 2015年の金融危機:回避可能なシナリオ
2011/02/08
Abstract
オリバーワイマンは先にダボスで開かれた2011年世界経済フォーラムで、第14回目となる金融業界の現状レポート「2011年金融業界の現状レポート: 2015年の金融危機:回避可能なシナリオ」を発表しました。同レポートは、世界的な金融危機を機に金融機関の経営幹部や規制当局は金融システムの安定化に向けて取り組んできたものの、危機の再発につながる様々なシナリオに備える必要があると結論付けています。
レポートでは2015年に金融危機が発生するという想定のシナリオに基づき、現在の金融システムに対する「ストレステスト」を行っています。このシナリオの下では、西側諸国の銀行セクターに対する規制厳格化によって発生したリスクが、(当局からの規制を受けない)影の銀行セクターにまず波及し、その後新興市場にも広がっていき、商品や関連資産のバブル化に発展します。さらに、こうしたバブルの崩壊が引き金となり、不安定な先進国市場で政府債務の再構築につながっていきます。レポートでは、このシナリオは金融機関や規制当局が直面する可能性のある悪いシナリオのほんの1例にすぎず、業界関係者によるリスク管理の向上と戦略策定を促すためにはストレステストが欠かせないと論じています。
こうした悲観的なシナリオを想定するのは、単なる予測のためではありません。金融機関および規制当局は、シナリオに基づく計画やストレステストを将来可能性のある危機の影響を最小化するためのツールとして活用すべきでしょう。
このレポートは27ページで構成されています。