中小企業向けバンキングを成功させる4つの黄金の鍵:パート1
Abstract
中小企業向けバンキングという「宝箱」を開けるには4つの鍵が必要です。セレントが中小企業向けバンキングを「宝箱」と呼ぶのは、この分野を手がける銀行が、最大で業界平均を10ポイントも上回る利益率を上げているからです。
中小企業向けバンキングの宝箱を開けるのは決して簡単ではありません。そうでなければ、もっと多くの銀行がこの分野で活躍しているでしょう。この鍵を手に入れるには、「ハイタッチ」と「ハイテク」を組み合わせた錬金術が必要です。最新レポート「中小企業向けバンキングを成功させる4つの黄金の鍵」において、セレントは、この鍵を手に入れた有力銀行の「錬金術師達」に取材して、「ハイタッチ」の手がかりを検証します。第一の鍵は、「シンプルかつスマート(ハイテク化)」という基本原則を正しく理解することです。
「ハイテク化が成熟しているのは、ペイメントの分野です。しかし、中小企業のニーズに合わせたペイメントサービスを提供している銀行はほとんどありません。それよりもむしろ、多くの銀行が一般消費者向けのサービスを提供しています。こういう状況なので、ポイント制カードやリモート預金キャプチャーなど、中小企業を対象にした様々なペイメントプロジェクトにビジネス機会が存在します」とセレント銀行プラクティスのマネジャーで本レポートを執筆したアレンカ・グリリッシュは語っています。
第二の鍵は、中小企業向けバンキングのビジネスラインを確保することです。この分野で成功している銀行の間では、中小企業向けバンキングのビジネスラインを独立させて、専任の営業・サービスチームや与信手続き部門を設ける必要があるという点で意見が一致しています。
第三の鍵は、支店と中小企業向けバンキング担当者との間に相互恩恵をもたらすような関係を構築することです。「win-win」の関係を確立するためには、協力活動とそれに伴う成果を測定し(ダブルカウンティングも含める)、それを評価する仕組みが必要となります。
そして第四の鍵は、法人および個人向けバンキングの両分野でビジネスを獲得することです。中小企業オーナーの約10%は富裕層に属しています。目標は、ビジネス用と個人用の銀行の一元管理を考えている層のほぼ50%を取り込むことです。
「中小企業向けバンキング分野では、今後も新たなビジネス機会が次々と現れるでしょう。錬金術師はそれに応じて調合材料を適宜変えて行かなくてはならないでしょう。現在、転換期にさしかかっている重要な分野がペイメントです。この分野では、リモート預金キャプチャー、ポイント制カード、電子決済という3つの『卑金属』が『黄金』へと変貌を遂げるでしょう。銀行としては、こうした変化がもたらす副次的効果にも備える必要があります。中小企業の小切手への依存度がますます低下するにつれて、顧客と銀行の接点は支店からリモートアクセスへと移行して行くでしょう。現在先に立つ銀行はこうしたチャネルのシフトを予見し、オンラインバンキング・プラットフォームのアップグレードやコールセンタースタッフの能力向上といった準備を進めています」とグリリッシュは付け加えています。
本レポートは9図と2表を含む全25ページで構成されています。