リスク管理におけるビッグデータ:新たな洞察へ導くツール【全訳版】
Abstract
(このレポートは2013年12月5日に"Big Data in Risk Management: Tools Providing New Insight" というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2014年8月4日に発行しました。)
セレントの予測によると、リスク管理分野におけるビッグデータ関連の投資額は2014年には4億7,000万ドル(約480億円)、2016年には7億3,000万ドル(約748億円)に達する見込みです。背景には、リスク管理ツールの完成度が高まり、金融機関が全社規模のソリューションを採用する動きが広まっていることがあります。
金融機関は引き続き、リスク管理システム、分析および報告機能の向上を迫られています。最新のオープンソース・ソフトウェアに基づくツールを使うことで、金融機関はより多くの種類のデータやソースをより速く分析できるようになり、ビッグデータは既存のリスク管理システムや分析ツールを補完するものとして、欠くことのできない存在となるでしょう。
セレントの最新レポート「リスク管理におけるビッグデータ」はビッグデータがリスク管理にもたらしうるメリットを示し、次の分野におけるビッグデータの可能性を評価しています。
• リスク評価および測定
• フロントオフィスおよびリスク関連業務
• リスクの抑制および監視
• リスクの報告およびガバナンス
では、なぜ今ビッグデータなのでしょうか。先の金融危機の折、市場参加者と規制当局は、自らが持つ既存のデータアーキテクチャやシステムでは広範囲にわたるリスクの監視および管理に対応しきれないことを認識しました。規制当局はあらゆるリスクに関する報告頻度を上げ、金融機関に臨時の質問にも迅速に回答するよう望んでいます。よりタイムリーで詳細な管理および規制上の要件に対応するため、金融機関はオープンソースのソフトウェア・ソリューション(Hadoop、MapReduceなど)や、インメモリ・データベースや分析ツールなど高度なデータ管理ツールへの投資を拡大しています。
「リスク管理モデルに、フィナンシャルデータ以外の新しい種類およびソースのデータを加えると新たな洞察力を得ることができます。まずは、組織内の他のグループや部門からも利用評価してもらえるような、管理されたパイロットプロジェクトからスタートさせるとよいでしょう」と、セレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆したビル・ファーンレイJr.は述べています。
本レポートは、ビッグデータがリスク分野にもたらすメリットを検証し、リスク管理におけるビッグデータの将来性について詳しく分析しています。また、9つの簡単なケーススタディも紹介しています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2013年11月30日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。