2019年に金融機関がAMLおよびKYC関連のコンプライアンスに費やすIT/業務支出は世界全体で321億ドルに達すると推計される。
Key research questions
- 金融機関によるAML/KYC関連のIT支出総額は?
- 金融機関によるAML/KYC関連の業務支出総額は?
- 3. 金融機関によるAML/KNC関連のIT支出の見通しは?
Abstract
テクノロジーの進化と規制強化が複雑に絡み合うなか、銀行にマネーロンダリング防止(AML)および顧客身元確認(KYC)関連のIT/業務支出を求める圧力はかつてないほど強まっている。その結果、ここ10年間でAML/KYC関連支出は爆発的に膨らんだ。セレントの推計によると、2019年のAML/KYC関連のIT支出額は世界全体で83億ドルに達し、それに伴う業務支出額も234億ドルに拡大する見通しである。
地域別AML/KYC関連IT支出のドライバー
地域 |
IT支出ドライバー |
北米 |
規制による審査の厳格化 グローバル/地域で事業展開する大手金融機関によるテクノロジー導入およびIT支出の拡大 比較的高性能のシステムを持つ小規模銀行が多数ある |
欧州 |
西欧諸国の市場慣行や支出要因は北米と似ている 東欧諸国の多くはテクノロジーの導入が遅れ、IT支出も少ない |
アジア |
地域によってAMLのフレームワークやテクノロジーの導入状況が異なる アジアの先進諸国ではテクノロジーの導入が進んでいるが、その他の発展途上国は基本的な銀行サービスを提供する のみで、 テクノロジーの導入も限定的 |
その他 の地域 |
AML分野のテクノロジー導入は限定的 規制の整備も初期段階 |
AML関連テクノロジーは重大な岐路に差し掛かっている。第1世代のルールに基づくシステムは、デジタル時代の課題を解決する上で十分な機能を備えていないことが露呈しつつある。そこで金融機関は、今日のAML業務の効率性と有効性を向上させるためだけでなく、膨らみ続ける業務コストの抑制さらには削減を可能にする投資につながる次世代テクノロジーを求めている。
本レポートでは、銀行、保険会社、証券会社、ウェルス/アセットマネジメント企業を含む世界の金融機関が負担するAML/KYC関連のIT/業務支出額を推計している。その際には世界全体の推定額に加え、以下のような内訳による推定額も算出した。
世界の地域別支出額:北米、欧州、アジア、その他の地域
AML/KYCの主な3つの業務機能別支出額:①本人確認(KYC)および顧客デューディリジェンス(CDD)②制裁対象者の審査③取引監視
システム別支出額:社内支出、ハードウェア、外部のソフトウェア、外部のサービス
業務支出額のトレンド(IT投資以外)
金融機関のタイプ/規模別支出額
新規開発プロジェクトとシステム保守・管理業務への支出額の比較
過去の支出額伸び率の推移と今後の見通し