暗号技術分野のマッピング パート1:トランザクション・バンキングとペイメント
主要な暗号技術ベンダーが提供するソリューションの状況
Abstract
誇大宣伝は信用すべきではないが、ブロックチェーンに実用性があるのは確かである。
ブロックチェーンについては、投機的な側面がかなり誇大宣伝されているため、ブロックチェーン技術を活用して銀行業務を改善するという実用的な取り組みが影に隠れてしまっている。この10年、バンキングシステムと決済システムはデジタル経済と情報シェアリングの発展ペースに付いていくことができていない。現在、電子商取引プラットフォームとバンキング/ 決済システム、電子取引と取引後の清算・決済を分けて考えることはできなくなっている。また、送金コストの高止まりという課題も解消する必要がある。こうした中、暗号技術 (すなわち、ブロックチェーン、スマート契約、およびデジタル資産) は、バンキング/ 決済システムのパフォーマンスをデジタル経済のパフォーマンスに見合う水準に高めることができると期待されている。
本レポートでは、暗号技術を使ってリテール/ ホールセール決済プロセスを改善する方法について検証する。これらの革新的で新たな決済プロセスは、決済メッセージング、清算、決済、およびこれらと同程度に重要な流動性管理において、強力なバリュープロポジションをもたらしている。
11の暗号技術ベンダー、すなわちトランザクションバンキングと決済に特化した暗号技術の先駆的プレイヤーが紹介されている。ほとんどの暗号技術ベンダーは、概念実証やパイロット実験といった比較的落ち着いた段階から、製品化という煩雑な段階へと移行することに成功している。製品化の段階では、規制要件を満たすだけでなく、システム統合とパラダイムシフトという課題を克服するために取り組んでいる。現在は、経済的継続性の獲得、すなわちスケーリングという課題に直面している。
これらの暗号技術ベンダーは、暗号技術導入へのフライホイールを回転させるという困難な課題に取り組んでいる。
図1:トランザクションバンキングと決済のユースケース導入へのフライホイール
本レポートで紹介されている暗号技術ベンダーは以下の通り。
Adhara、ConsenSys、Fnality、J.P.Morgan、M 10、Quartz、R 3、Ripple、Stellar、Velo、Visa