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インドの株式発行市場:発行急増に伴う問題

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2010/07/06

Abstract


インドの株式発行市場は景気後退による影響から回復し、向こう2〜3年間は急速な拡大が予想されます。市況の改善や新たな投資規制の導入を背景に、2009年から2013年にかけて新規発行件数は倍増するでしょう。

セレントの最新レポート「インドの株式発行市場:発行急増に伴う問題」は、上場企業に自社の発行済み株式数の25%以上を一般株主に流通する浮動株とすることを義務づける新たな投資規制の導入がもたらす影響について分析しています。新規制が導入されれば今後2〜3年間で1.5〜2.5兆ルピー(約3兆〜5兆円)に相当する新規発行が行われる見通しで、規制の完全な施行によって市場環境が一変する可能性があります。

下図は、インド資本市場における国内株式と外国証券(外貨建て転換社債およびADR/GDR)の発行状況を示したものです。これらのパフォーマンスはいずれも2009年に低下したあと、2010年には改善しています。景気後退の影響が最も顕著だったのは、国内株式市場です。外貨建て転換社債、ADRおよびGDRによる資金調達額は2009年の最低水準からは持ち直したものの、2008年の水準までは回復していません。新規制(上場企業の発行済み株式数の最低25%を浮動株にすることを義務づける)の導入は発行市場の活性化につながるとみられることから、2011年以降の新規発行額は大幅に増加する見通しです。

出典:セレント

「発行市場は既に回復基調にあり、株式発行件数が増えすぎると市場や経済全体に逆効果をもたらす可能性もあります。最低25%の浮動株を義務づけるかどうかは、市場への影響を考慮して判断する必要があります」と、セレントのインドフィナンシャルサービスグループのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。

レポートでは、この問題の他の2つの側面についても論じています。1つは、株式発行件数が増えれば投資銀行の増収につながるという点です。もう1つは、株式発行市場の拡大がメリットをもたらす可能性がある一方、新規制の適用を避けるため上場を廃止する企業が出かねないほか、流通市場にマイナス影響を及ぼすことも考えられます。

このレポートは6図と1表を含む20ページで構成されています。

注)ルピーから日本円への換算レートは、2010年6月30日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。