キャピタルマーケッツとコーポレートバンキングにおける分散型帳簿のユースケース:ブームの先を探る【抄訳版】
Abstract
(英文レポート"Beyond the Buzz: Exploring Distributed Ledger Technology Use Cases in Capital Markets and Corporate Banking"の重要部分を抽出し翻訳しました。)
分散型帳簿テクノロジー(DLT)は、コーポレートバンキングや資本市場の金融システムに新たなアーキテクチャをもたらす可能性があります。金融機関は分散型帳簿テクノロジーのユースケースを模索するため金融、テクノロジーおよび規制のエコシステムの統合に着手しており、一部は同テクノロジーの導入へと移行しつつあります。本レポートは短・中期的な同テクノロジーの用途に焦点を当て、どの分野で最初に導入が広がる可能性が高いか考察しています。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 金融機関のニーズによって分散型帳簿テクノロジー(DLT)はどのような変化を求められるか? |
2 |
分散型帳簿テクノロジーは主な資本市場とコーポレートバンキングにおいてどのようなユースケースがあるか? |
3 | それらのユースケースの成熟度は? |
本レポートはMisysの支援を受けて執筆されたもので、主に以下の3つのテーマを取り上げています。
- アーキテクチャの導入を促す金融機関側のニーズと金融ソリューションの開発を加速させるコンソーシアムの形成
- 資本市場とコーポレートバンキングで生まれつつあるユースケース
- フィンテックのスタートアップ企業、実績あるテクノロジー企業、既存の金融機関、規制当局に加え、既存のコンソーシアムやパートナーシップ以外から生まれるテクノロジーイノベーションによる相互作用によって未来の姿が形成されつつある現状
「資産クラスによって、『弱点』に関する課題とそれを解決するために構築すべきテクノロジーは異なります。さらに、資本市場でのユースケースは進捗度に違いがあり、コンセプトを立証するための試験が実施済みのケースがある一方、単に発表しただけのケースもあります」とセレント証券プラクティスのシニア・アナリストでレポートの共著者であるジョン・ドゥワイヤーは述べています。
「コーポレートバンキングの分野ではトランザクション処理が決め手となるため、分散型帳簿テクノロジーはこの分野のサービス向上に大きく寄与する可能性があります。可視性の向上、プロセスのスムーズ化、照合の自動化、サイクルタイムの短縮が可能になるとの見方から、コーポレートバンキングにおけるユースケースは大きな関心と投資の対象になっています」と銀行プラクティスのシニア・アナリストでレポートを共同執筆したパトリシア・ハインズはコメントしています。