銀行にとって決済の現代化が必須である理由
Abstract
迅速な変更、安価な変更、簡単な変更、リスクのない変更のいずれか1つ以上を行うことで決済の最新化が実現できるのなら、銀行はすでにやっているだろう。銀行は最新化を図りたくないのではなく、最新化のリスクと現状維持のリスクとの間で判断に迷っているのである。
変更は複雑で、変更に伴うコストとリスクがあるため、多くの銀行が変更の必要性を認識しているが、我々が期待するほどすぐには実行できないというのが現状である。その結果、銀行業界では近年、決済を最新化する喫緊の必要性について議論が高まっている。セレントが最近行った調査では、回答した欧州とアジア太平洋地域の銀行の担当者の3分の1が、2024年の優先事項の上位3項目の1つに決済の最新化を挙げていた。しかし、最新化にまだ着手していない銀行は、他に遅れをとるだけでなく、少なくとも競争力を、最悪の場合オペレーション能力を、危険にさらすことになる。その結果、多くの場合、現状を維持し続ける方が簡単であるという結論になる。
銀行は伝統的に、そのテクノロジーのために技術革新の能力を妨げられてきた。変更に必要なコストとリスクにより、大口顧客以外にはニーズに合ったものを提供することが難しかった。また、銀行が技術革新を行ったとしても、その変更はソリューションにハードコードされることが多く、将来の変更が複雑化する要因になっている。
要するに、銀行は最新化を図る余裕がないのかもしれないが、もはややらないわけにはいかないのだ。
変更が必要な理由は明らかだが、銀行はそれらが新しいシステムの要件であるという考えに陥ってはいけない。それらは要件の一部ではあるが、唯一の理由と考えるべきではない。例えば、多くの銀行は低コストのソリューションを追求してきたが、結局、コスト削減にはそれなりのコストがかかることに気づいた。
本レポートでは、銀行が最新化を図る必要がある多くの理由と、やらなかった場合の結果を紹介する。さらに重要な点として、明確な戦略とビジョンの重要性から適切なパートナーの選択まで、最新化の方法について説明する。