現在と未来の顧客ID管理:銀行の視点から
2021/11/14
Abstract
当然ながら、ID管理と認証は銀行が取り組むべき課題の上位にランクされている。これらはいずれもリスクの高い取り組みであり、対応を誤れば、不運な目に遭う顧客や横行する詐欺行為、あるいはその両方に対処しなければならない。一方で、銀行はデジタルIDの課題を解決するまたとない機会を得ている。
2021年9月、セレントは英国、トルコ、スペイン、米国の大手金融機関の幹部を対象にディスカッションと個別インタビューを行った。目的は、顧客IDと認証の管理に関する金融機関の現在と未来の戦略について、銀行のシニアリーダーや戦略的に影響力を持つ人々とオープンな対話を行うことであった。今回のインタビューでは以下2つの主要テーマに焦点を当てた。
- 現在、銀行はIDと認証をどのように管理しているのか?
- 未来のIDと認証の管理について、銀行はどのようなビジョンを持っているのか?また、ID管理に最も影響をもたらす可能性が高い外部業者による開発は何で、具体的にどのような影響があるのか?
金融機関では、ID証明と認証のベストプラクティスはある程度理解されているが、具体的な戦略とアプローチは、個々の状況、規制要件、市場全体の状況、顧客の習慣と嗜好に基づいて形成されるという状況が続いている。セレントのID/認証成熟度モデル (ゲストログインを作成するか、サインインして閲覧) に照らしてみると、成熟度のレベルは銀行によって異なっている。
デジタルIDの課題解決に向けた取り組みは、大手銀行、規制当局、さらには銀行業界のコンソーシアムやパートナーシップが主導する形で、世界各国で活発化している。銀行はデジタルID分野において「特権的な主体」としての立場を維持したいと考えているが、そのためには他のプレーヤーからの挑戦に打ち勝つ必要がある。