取引監視から不正検知へ
2017/11/15
REPORT PREVIOUSLY PUBLISHED BY OLIVER WYMAN
Abstract
金融危機以降、金融業界は不正行為のために、損失や訴訟問題、罰金などの多大な負担を余儀なくされてきました。これを受け、銀行は多額の資金を投じて取引監視プロジェクトを立ち上げ、トレーディングやメールや音声などのやり取りをもとに、従業員の不正行為を発見する体制を整備してきました。
こうした不正対策は、比較的単純なルールベースのプログラムが一般的です。しかし、時間の経過とともに、自社開発ソリューションとベンダー製ソリューションが複雑かつ非効率的に絡み合った形へと発展してきたケースも多く見られます。今の環境で既存の取引監視プログラムを大幅に見直すことは、かなり難しいでしょう。それでも環境が変りゆくことは明白です。よって、金融機関は次の潮流を慎重に見極め、変化を見据えた計画を立てることが重要です。
多くの金融機関の取引監視体制は、現在あらゆる面で問題を抱えています。具体的には、ルールベースのアラート機能や、しっかりとした判断基準の欠如、非効率なコアプロセス、そして最適とはいえないインフラ基盤などが挙げられます。オリバーワイマンでは、現行のルールベースのアプローチを脱却し、よりダイナミックで包括的な行動ベースの不正検知プロセスへ移行することを推奨します。これは、新しいソリューションベンダーを選定すれば済む話ではなく、新たなリスクへのダイナミックな対応や、効率的・効果的な不正検知を可能にするテクノロジー、そして人材への投資も盛り込まなければなりません。