金融サービス業界における電子 コミュニケーション: 管理および記録保持の義務
Abstract
昨今の金融当局による規制基準の設定やユーザー数の増加を受け、金融機 関では包括的なコミュニケーション管理プログラムの開発を余儀なくされ ています。
金融機関の電子メール保存システムや手続きに不備が見つかった場合、当局が数百万ドルの罰金を課す るケースが相次いでいます、一方、金融機関を相手に起こされた訴訟では検察側が電子メールの記録を 証拠として用いるケースがみられます。このような傾向にもかかわらず、電子メールやさらに最近では インスタント・メッセージ(IM)の普及はますます広まり、アプリケーション開発プラットフォームとしても好んで利用されつつあります。
セレントの最新レポートでは、米金融サービス業界における電子メールのユーザー数は2006年までに5 百万人近くに達する可鉢があると略しています。また、インスタント・メッセージのユーザー数は さらに急速に拡大しつつありますが、企業側もこれらのツールの利用・管理体制の整備をようやく進め ている、という状況です。
多様な形態による電子コミュニケーションにはリスクが伴うにもかかわらず、多くの金融機関では当局の求めるような方針およびシステムがいまだに確立されていません。「米国の大部分の金融機関の電子メールやインスタント・メッセージの管理システムとデータ保存システムのフレームワークは、明らかに十分であるとは言えない状況です。同レポートの著者でセレントのシニアアナリストであるマイケル・ヘイニーは述べています。
米国の大部分の金融機関の電子メールやインスタント・メッセージの管理システムとデータ保存システムのフレームワークは、明らかに十分であるとは言えない状況です。
企業は業務上およびコンプライアンス上の基準を統合したうえで、これに従って管理プロセス・手続き を文書化し、社内共通の方針マニュアルを作成する必要があります。ヘイニーの見解は、「コンプライア ンス上および業務上の要求を同時に満たすような包括的システムを確立している企業は、今のところ全体の15%にも満たないでしょう」というものです。」
同レポートでは、金融業界に影響を及ぼす電子コミュニケーションに関連した法律・規制上の動向につ いても分析しており、金融機関とそのパートナーであるITプロバイダにとって役に立つ情報を提供す るものです。さらに、法律の解釈と施行を担当する監督機関を明らかにするとともに、電子コミュニ ケーションシステムの適正な管理を怠った企業が最近受けた懲戒処分の例についても焦点を当てていま す。また、同レポートでは、技術そのものが規制に準拠し易いように改善されつつも、技術の進歩によ る電子コミュニケーションの多様化・複雑化に伴って新たな課題が発生している状況についても検証し ています。
本レポートには10種類の僻7つのグラフが掲載されています。