RegTech :フィンテックがもたらす金融規制のイノベーションと自動化のうねり【全訳版】
FinTech Will Drive Innovation and Automation to Financial Regulation
Abstract
(このレポートは2015年7月28日に" RegTech — Not Reg Plus Tech, But Reg to the Power of Tech: FinTech Will Drive Innovation and Automation to Financial Regulation" というタイトルで英文で発表されましたが、全訳版を2015年10月20日に発行しました。)
※ダウンロード: レポート本文(PDF)=和訳レポートファイル 添付ファイル(PDF)=英文レポートファイル
金融のディスラプションは金融規制にもイノベーションをもたらし、最終的にはその自動化を促す力となるでしょう。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | RegTechとは何か? |
2 |
金融機関にとってどのような意味を持つか? |
3 | 規制当局にとってどのような意味を持つか? |
金融市場でテクノロジーを採用する際には、規制に対する効率的で効果的なアプローチが求められます。市場参加者はより多くのデータを作成・分析した上で意思決定を行っています。規制の動きも、より多くのデータが作成される一因となっています。
フィンテックは金融セクターにディスラプティブな変化をもたらし、その流れは金融規制にも波及し、特に以下の動きは、規制当局にも影響を及ぼすでしょう。
- 新規参入者の登場に伴う金融機関の市場ポジションの変化
- 新たなビジネスモデルの構築(P2P融資、クラウドファンディングなど)
- 新たなテクノロジーとデータおよび分析の拡大に伴う急速な変化
- 伝統的な金融機関と非伝統的な金融機関の融合による「金融ハイブリッド」の誕生
現行の金融規制は当局の使う難解な言葉であふれており、重複や同じ規則に対する解釈の違いが生じる可能性があります。規制のイノベーションおよび自動化が進めば、より大規模な合理化に向けた環境づくりや、テクノロジー主導の金融業界の進化にいまだ追いついていない規制機関の大幅な効率化が可能になるとみられます。
世界的な金融危機を経て規制環境は大きく変化してきました。リスクに基づくアプローチへのシフトが進むなか、規制当局は金融機関のあらゆる業務に関してより詳細なデータの提出を求めています。様々な報告期限が設けられたことで、金融機関はその1つ1つを遵守するための十分な時間がとれず、難しい課題を抱えています。
こうした課題に戦略的に対処するためには、テクノロジーの活用がカギとなるでしょう。現在、金融業界ではテクノロジー主導のイノベーションへのシフトが進んでおり、そうした環境に適応できない金融機関は規制要件や施行期日の遵守に苦戦するとみられます。
将来的に金融規制は、以下のような手法を通じて自動化が大幅に進むと考えられます。
- 当局と金融機関の間の積極的で生産的な双方向の対話と定期的なフィードバックループ
- データ提示方法の標準化(地域およびグローバル)
- データ収集の自動化
- オープンソースのコンプライアンスシステム(フィンテックへの参入を促進)
- コンプライアンス基準のプロトコルへの組み入れ(人的エラーの排除)
「規制当局、金融機関、そしてフィンテックを手掛ける新興企業によるテクノロジーの利用はさらに拡大し、データの分析に基づくリアルタイムの金融規制へのシフトはさらに進むでしょう。当局と金融機関の間にはより短周期で生産的なフィードバックループが形成され、既存の規制が引き続き適切かつ有効であるかどうかをより厳しくチェックされるようになるでしょう」とセレントのシニアアナリストでレポートを執筆したジョン・ドゥワイヤーは述べています。