独立代理店調査:保険会社選別の要因分析(損害保険エディション)
Abstract
セレント・コミュニケーションズが1,602の独立代理店を対象に行なった調査は、代理店による保険会社の選別方法や保険会社が代理店に選好されるための条件について貴重な手がかりを示しています。
保険会社が独立代理店向け販売チャネルの強化に莫大な労力と資金を投入しているにもかかわらず、独立代理店側は取り扱い保険会社を絞りきれず、新規契約先を3社以上の保険会社に振り分けるケースが多くみられます。
「保険会社が代理店の抱える重要課題の解決策を提供することで差別化を図ろうとするのであれば、代理店側は契約先を1つに絞り込むことにむしろ前向きであろう」セレントのシニアアナリストで上記レポートの著者であるクレイグ・ウェバーはこう述べています(尚、同レポートは①生命保険・医療保険、②損害保険の分野別2エディションが発行されています)。「しかし、大多数の保険会社は、独立代理店のニーズに合った商品、サービスおよびテクノロジーを包括的に提供していない。その結果、販売活動への投資が無駄に終わることが多い」とも付け加えています。
同レポートは、商品価格、商品特性、保険引き受けのスピードという要因は、単発的な新規契約を獲得するには十分な水準に達しているものの、他社との差別化を実現し、代理店から独占的に契約を取り付ける決め手となるにはなお不十分であると指摘しています(上記図1を参照)。
「保険会社選別のカギとなる要因は何かという質問に対して、テクノロジーを挙げた代理店はあまり多くなかった。ところが、次に好ましい保険会社とその選択理由は何かという質問に対する回答から、保険会社が代理店の日常業務向上につながるテクノロジーを提供できるかどうかが選好の決め手となり得ることが明らかになった。好きな保険会社の具体名を答えた代理店は、その選択に極めて満足している傾向がある。」
同レポートでは、独立代理店による選好度が最も高かった保険会社としてハートフォード (生命保険・医療保険および損害保険の両分野とも) を挙げています。それ以外で選好度が高かったのは、損害保険分野はチューリッヒ、トラベラーズ、AIGとその100%子会社レキシントン、チャブグループで、生命保険・医療保険ではプルデンシャル、パシフィック・ライフおよびジョン・ハンコックとなっています。
このほか同レポートは主に以下のような項目についても論じています。
代理店が利用可能なテクノロジーの分野別一覧とその利用状況
電子署名、オンライン学習、テレ・アンダーライティングといった最新テクノロジーに対する代理店側の見解
各分野の代理店が新規顧客開拓とサービス提供の両立をいかに実現させているかについての実態調査
新規顧客獲得のサイクル・タイムとこれに対する代理店の評価
同レポートは1,602の独立代理店を対象に今年8月にセレントが実施した調査結果を基に作成されたものです。