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データのクオリティ:真実は見えていない

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2011/01/26

Abstract


証券会社や投資運用会社が将来予想される厳しい市場環境を乗り切っていくためには、市場リスクを管理するためのより優れた機能やシステムに賢く投資する必要があります。規制当局が示す基準に依存するだけでは十分とはいえません。

金融危機以降、リスクの測定と管理をめぐって様々な議論が展開されてきましたが、それを支えるデータについてはほとんど注目されていないのが現状です。データが貧弱であれば、リスク管理のみならず、金融機関の業務活動の多くが弱体化しかねません。それが戦略的な意思決定であれ、顧客向けローンの利率設定といった個別の判断であれ、理論は全く同じです。すなわち、意思決定の質はそれに関わる個人の能力と情報の両方によって決まるのです。データの質が貧弱であれば、その情報も貧弱となり、幸運にでも恵まれない限り優れた意思決定はできないでしょう。

オリバー・ワイマンの戦略的IT&オペレーションズ・プラクティスのヘッドでレポートの共同執筆者であるポール・ミーは、「データはあらゆる銀行にとって必要不可欠であるにもかかわらず、それらは未処理、不透明かつ不適切な状態にあるため、組織を十分に機能させるには至っていません」と述べています。

リスク管理システムと機能への注目が高まるなか、データの質は以前から取り沙汰されてきたテーマであり、金融機関ではそれがいまだ実現できていないことに対する不満と幻滅が広がっています。しかし、大手や中堅の金融機関がリスク管理再生プロジェクトを数多く立ち上げるなど、より協調的な取り組みを通じてこの問題の解決を目指す動きが(再び)活発になっています。

「銀行が成功のための戦略を策定・実行する上で、意思決定の根拠となるべき事実基盤の質の低さが足を引っ張る要因となっています。多くの銀行にとって、データの質は戦略上の大きなリスクとなっています」と、オリバー・ワイマンのファイナンス&リスク・プラクティスのパートナーであるジェームズ・マッキントッシュは述べています。

今回のレポート「データのクオリティ:真実は見えていない」は、情報(融資、リスク、顧客に関する情報)の管理において重大ながらもつい見落とされがちな規律について分析しています。こうした情報の不備は深刻な状況にあります。データ不足は日常化し、マンネリ化に陥っています。銀行が直面する問題(経営破綻も含む)の多くはデータ不足に起因しているといえますが、これも、誰もが知っているのに、わざと避けている大きな問題(elephant in the room)のひとつなのです。

ではどのような策を講じればよいのでしょうか。データの質を向上させるためのプロジェクトは、?測定?管理?保有?処理?組織化―という枠組みに始まり、終わるといえます。これらは非常に重要ですが、これらの枠組みを遂行するも、必ずしも情報の質の向上につながっていません。「十分に試行された」プロセスに基づくデータの枠組みではなく、より独創的なアプローチをとることが求められています。

本レポートは、有効なリスク管理を可能にするデータ基盤がどのようなものか検証しています。具体的には、データをめぐる既存の問題の深刻さ、質の高いデータの特徴、データの質向上のためにすべきことを明らかにしています。

このレポートは7ページで構成されています。