米銀のオンライン口座開設手続き: 消費者の視点からの評価【抄訳版】
Abstract
このレポートは2015年8月26日に" A Misanthrope’s Journey: Assessing the US Online Account Opening Experience" というタイトルで英文で発表されましたが、抄訳版を2016年1月12日に発行しました。)
セレントは、オンラインの口座開設手続きについて消費者の視点から評価しました。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 銀行は口座開設の顧客経験についてどう考えるべきか? |
2 |
オンラインでの当座預金口座開設手続きとはどんなものか? |
3 | 米銀におけるオンライン口座開設のベストプラクティスは? |
本レポートは、米銀26行のウェブサイトにアクセスしてオンライン(可能な場合はモバイル)で口座を開設する際の手続きを試した結果をまとめています。
今回の調査では徹底的な顧客中心主義に立ち、もっぱら顧客の視点から各行の手続きを評価しています。当座預金の口座開設を申し込む人にとって、銀行側のプロセス変更がいかに難しいか、コンプライアンスがいかに困難な課題かは関係のない話であり、預金をするにあたってなぜ銀行にこれほど詳しい情報を提供する必要があるのかと思っていることでしょう。
顧客経験のクオリティは銀行によって大きな差があり、一般に優良だと思われている銀行の顧客経験のクオリティが低い場合がある一方で、その逆のケースもあります。単に紙ベースの申し込み用紙をオンラインに移行するだけでなく、さらに大きな改善の余地があると先進的な銀行は気づいています。しかし、一部の超優良銀行では、いまだ紙ベースの書類への署名を求め、申込者を長時間待たせた挙句、居住場所がサービス対象地域に含まれていないという理由で結局口座開設を拒否したりということが起こっています。また、うまく機能しなかったテクノロジー(免許証の写真から氏名、住所などを読み込む)の導入を進めようとしているケースも見られます。iPhoneを使った新興銀行の口座開設手続きは、驚くほどお粗末なものでした。SunTrust、USAA、Allyなどの最有力プレーヤーは、 入力の迅速化、本人確認手続きの簡略化、魅力的な選択肢の拡充などを通じて、シームレスで簡潔、かつ可能な限り楽に進められる手続きを採用しています。
レポートでは口座開設手続きの7つの主要ステップを取り上げ、現時点のベストプラクティスを示すほか、今回の調査ではいずれの銀行も提供していなかった比較的簡単な顧客経験を提案しています。調査対象の銀行には現在または過去にセレントの顧客である/あった銀行とそうでない銀行が含まれていますが、評価を行う上でそうした点は全く考慮されていません。
セレントは、口座開設手続きについて以下のような提案をしています。
- 銀行ではなく、申し込む消費者の視点から手続きを設計する。
- 単に紙ベース/支店仕様の手続きをオンラインに移行するだけでなく、「ニューメディア」として提供する機能を考える。
- 各プロセス(紙ベースの書類への署名等)をとる理由を検証し、理に適っていないものは改善する。
- 口座開設の次の段階(モバイル)の導入戦略を策定する。
「消費者にとって、口座開設手続きは銀行サービスへの実質的な入口に当たります。銀行が顧客に良い第一印象を持ってもらうためのチャンスは1度しかありません。銀行によって顧客経験のクオリティにばらつきがあるのは驚きであした。多くの銀行がモバイルを使った口座開設サービスに取り組もうとしているだけに、オンラインサービスの改善は必須といえるでしょう」とセレント銀行プラクティスのシニアバイスプレジデントであるダン・ラティモアは述べています。
本レポートは94p、74図と4表で構成されています。